今年も日本の若者は、〝シューカツ〟で大変な目にあったと伝えられています。40社も受けたのに1社も合格しなかった人もいる。ニートやフリーターが年ごとに増えている。日本の若者には夢がない、チャレンジ精神がないなどと言われています。

お金持ち,富裕層
(写真=PIXTA)

(本記事は、菅下清廣氏の著書『10年後に差が出る! 富を作るために「お金」と「経済」を学びなさい』(かんき出版)の中から一部を抜粋・編集しています)

はたして「日本の若者は不幸か、それとも幸福か」というのは、議論が分かれるところでしょう。結論から言うと、若者はもちろんのこと、今の日本人はものすごく幸福だと私は思っています。

その理由はさまざまありますが、第一に、日本という国は今でも世界トップクラスの経済大国で、他国に比べ、かなり高い生活水準を誇っています。

住む家がある、食料がある、水道の水が飲める。停電がほとんどない。治安が良い。飢えて死ぬ人がほとんどいない。そんな国は世界中を見渡しても、そんなに多くはありません。

例えば、日本の都市部のデパートには、それこそ溢れんばかりの商品が並んでいますが、これには先進国の外国人ですら驚くと言います。

一方、アフリカには、水を飲むことすらままならない地域がたくさんあることは、あなたもご存じでしょう。あらゆる物資に恵まれ、不自由なく暮らせるだけでも、日本人は幸せなのではないでしょうか?

さらに、日本は教育水準、識字率も世界トップレベルです。日本人で新聞すら読めないという人は、ほとんどいないでしょう。簡単な計算ができない人もほとんどいないでしょう。ところが、他の国々には、そうした人たちがいくらでもいます。思えば、日本は幕末から明治にかけてから、ずっと教育水準の高い国でした。

例えば、明治の初期に日本に来たイギリス人やフランス人の紀行文にも、「日本という国は、ちょんまげを結って、剣を差して、野蛮な国だと思って来たら、生活環境が極めて清潔で知的水準も高かった」とあります。

当時の日本では、どんな田舎の路地に入っても清潔で、みな家の前に水を打ったりしてきれいに掃除をしていました。そのDNAは21世紀の今でも引き継がれています。教育水準が高く、治安も良く、街が清潔に保たれている。これだけでも、日本に生まれたことは幸せだと言えるでしょう。

私は、大和証券からメリルリンチに転職し、27歳の時に、初めてニューヨークの地に降り立ちましたが、その時、「日本は良い国だな」としみじみ思いました。

もしも、あなたが「バブル崩壊後の右肩下がりの日本に生まれて、自分は損をしている」と感じているのなら、アジアでもアフリカでも南米でもいいので、一度、外国に行ってみるといいでしょう。

おそらく10人に9人は、「ああ、日本に生まれて良かった」と思うはずです。日本人に生まれたことは、実はそれだけで、ものすごく幸福なことなのです。

『どこか遠くに行きなさい。仕事が小さく見えてきて、もっと全体がよく眺められるようになります』(レオナルド・ダ・ヴィンチ/発明家・画家)

『10年後に差が出る! 富を作るために「お金」と「経済」を学びなさい』かんき出版(2013/2/27)画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします
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起業のきっかけとなった、ある社長の「エジプト旅行記」

私の勉強会に参加している、某IT企業の経営者が、「なぜ起業しようと思ったのか」について、私に話をしてくれました。彼は大学を卒業後、森ビルに入社して、3年半後に起業をし、社長になったのですが、そのきっかけは「エジプト旅行」だったそうです。

休暇でエジプトに行った際、彼はナイル川で遊覧船に乗って、観光をしました。ナイル川は、かなり汚れていて、川底が見えないくらい濁っているのですが、その中を遊覧船はどんどん進んでいったそうです。

船に乗っているのは、イギリス人、ドイツ人、アメリカ人といった白人ばかりで、黄色人種で乗っているのは、日本人である彼だけでした。ふと、下を見ると、地元のエジプト人が小舟で遊覧船に寄ってきて、Tシャツなどの物売りを始めたそうです。

「買ってくれ! 買ってくれ!」と叫んでいるのですが、その中には、どう見ても小学生くらいの小さな子どもがまじっている。

ハッと川岸を見ると、川の水は濁っており、正直、お世辞にもきれいとは言えない。しかも、その横では、子どもたちが平然と水浴びをしている。そうした光景を見ながら、彼はしみじみと思ったそうです。

「エジプトに比べれば、日本は天国だ…」

日本での生活は、たとえ小さなマンションであっても、きれいなシャワーを浴びて、美味しいものを、毎日食べることができます。洗濯機も冷蔵庫もあります。一方、彼が見たエジプトは、21世紀になった今でも、汚れたナイル川で水浴びをしていたのです。

「日本人が高い生活水準を保っていられるのは、過去の日本人、つまり先達が頑張ったからだ。私もこんなところで、うかうかしていられない」そのように感じ、「日本に帰ったら起業しよう」と決意したそうです。

日本人はたとえサラリーマンであっても、エジプトまで飛行機に乗って行き、さらに遊覧船にまで乗れる経済力がある。そのことに、彼は感動したと言います。たしかに世界水準から見れば、一介のサラリーマンが海外旅行をできること自体、実は幸せなことなのではないでしょうか?

思えば、日本は太平洋戦争に敗れ、何もかもが破壊されましたが、それからわずか半世紀で、世界最高水準の経済大国になりました。

それはなぜかというと、トヨタを創った人たちがいる、パナソニックを創った人たちがいる、ソニーを創った人たちがいるからです。これらの偉業を成し遂げた人たちは、みんな日本人でした。だからこそ、彼は「自分も負けないように、日本に帰ったら経営者になりたい」と思ったそうです。

だから、私は日本の若者たちに「愚痴を言う暇があったら、1週間でもいいから海外に行け」と言います。他の国の現状を見れば、日本がいかに素晴らしい国であるかが、きっと理解できるはずです。

『自分が方向を変えれば、新しい道はいくらでも開ける』(松下幸之助/パナソニック(松下電器)創業者)

菅下 清廣
スガシタパートナーズ株式会社代表取締役。国際金融コンサルタント、投資家。立命館アジア太平洋大学学長特別顧問。マーケット情報配信サービス「 スガシタボイス 」、株価の解説・予測が無料で読める「 スガシタレポート オンライン 」を配信中。

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