シティグループの証券取引ソリューション部門とナスダックが提携し、ブロックチェーン流通市場取引システムを開発中であることが明らかになった。
両社のプラットフォームをブロックチェーン技術で融合させ、民間企業の株式売買取引などに採用する試みだ。
シームレスで透明性の高い取引を
この提携関係は、シティがブロックチェーン・スタートアップ、チェーンから技術提供を受け、ブロックチェーン対応型にアップグレードした自社の総合金融ソリューション「シティ・コネクト・フォー・ブロックチェーン」を、ナスダックの未公開株式取引システム「Linq 」とリンクさせるというものだ。
証券取引ソリューション部門のシステムを通して、シームレスで透明性の高い取引 の実現を目指している。スタートアップとはいうものの、チェーンはすでに独自のブロックチェーン技術「チェーン・コア」をナスダックに提供した実績を持つ。
また2015年の投資ラウンドB では、シティとナスダックのほか、Visaやキャピタル・ワンから総額3000万ドル(約33億3360万円)の資金調達に成功した。
プロジェクトの詳細は、今月ニューヨークで開催された「コンセンサス2017」 で、正式に発表された。
次世代証券インフラの構築に積極的なナスダック
ナスダックは2015年、チェーンと提携し、未公開株式取引システム「Linq 」 を開発。自社の未公開株式取引市場「ナスダック・プライベート・マーケット」で活用する傍ら、デジタル技術を取り入れた新たな次世代証券インフラの構築に積極性を見せて来た。
昨年には香港証券取引所(HKEX)にも、ブロックチェーン技術の提携を持ち掛けている。
ナスダックのボブ・グレイフィールドCEO はLinq発表当時、「ブロックチェーンが金融市場のITインフラの基盤を覆す」と確信に満ちた発言をしていた。内部に2000人規模のソフトウェア開発者を抱えていたにも関わらず、商用データベース開発という既存の発想を捨て、あえてスタートアップとの提携でブロックチェーン開発に踏み切り、世間の注目を集めた。
デジタル改革にいち早く着手したシティ
一方シティは老舗米金融機関という伝統に捕らわれず、早期段階からデジタル改革に取り組んできた。「シティ・コネクト」 は、B2Bサイトでのリアルタイム取引を可能にした、画期的総合金融ソリューションだ。
2000年には米ビジネス・ソフト会社、オラクルと提携し、自社の決済・清算システムを送らるのeマーケット「オラクル・エクスチェンジ・コム」に提供。
2016年以降はJPモルガン・チェースやドイツ証券などの国際大手と共に、デジタル・アセット・ホールディングに総額5億ドル(約555億6000万円)を投じ、ブロックチェーンを利用した革命的ソリューションの開発に取り組んでいる。
前述したように、ナスダックとのプロジェクトでは、「シティ・コネクト」をブロックチェーン対応型にした「シティ・コネクト・フォー・ブロックチェーン」を提供している。
ブロックチェーンは「ビットコインの基盤技術」という枠組みを遥かに超過し、新たな金融産業を築く根幹として、全世界に広がり始めている。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)
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