2017年第1四半期のFinTech投資は総額32億ドルと、前四半期から10億5000万ドル(約 1159億8300万円)減ったことが判明した。

この調査はKPMGが、2017年第1四半期の欧米、アジアのFinTech投資を分析したものだ。ここでの「FinTech投資」とは、プライベート・エクイティ―、ベンチャー・キャピタル(VC)、M&Aを指す。

2016年のベンチャー・キャピタル(VC)投資では北米を追い越す勢いを見せたアジアだが、前年ほどの大型投資に恵まれず、4億9200万ドル(約543億4632万円)にとどまった。米国は15億ドル(約1656億9000万円)を占めてFinTech投資トップを首位。欧州が8億8000万ドル(約 972億480万円)を獲得した。

2017年第1四半期の資金調達トップ10

10位 用銭宝(中)6800万ドル
9位 プロデュース・ペイ(米)7700万ドル
8位 テック・プロセス・ペイメント・サービシズ(インド)8580万ドル
7位 ゼンバンクス(米)1億ドル
6位 ファンディング・サークル(英)1億110万ドル
5位 ユニラッシュ(米)1億4700万ドル
4位 iゼトル(スウェーデン)1億7520万ドル
3位 ペイトムeコマース(インド)2億ドル
2位 ダイレクトキャッシュ・ペイメント(カナダ)3億1070万ドル
1位 SoFi(米)4億5300万ドル

大型投資は米独走からインド、カナダなどに変化

2015年から2016年上半期を通して見られた勢いは感じられないものの、FinTech投資への関心は世界的に依然として高い。中・小型取引が増えたため総額は落ちこんだが、大型取引の範囲は米からインド、カナダ、スウェーデン、中国などへと多様性にあふれている。
米国からは4社がトップ10入り。4億5300万ドル(約500億 3838万円)という最大の投資を獲得したのは、決済スタートアップSoFiだ。ほかにもカナダのダイレクトキャッシュ・ペイメントやインドのペイトムeコマースなど、1億ドル(約110億4400万円)を超える投資が7件あった。

規制強化が中国への投資を抑制?大型FinTech企業は事業拡大

中国、インドがリードし、シンガポールや香港が後を追うという感の強かったアジアだが、これまで出遅れていた日本でも、Folio(1870万ドル/約20億6522万円)やマネーツリー(890万ドル/約9億8291万円) など、大型早期投資が生まれた。

中国は委員会を設立し、FinTech促進に向けて動きだすと同時に、質を向上させる意図で、金融産業の新規会社設立登記を禁じるなど、厳格な規制に乗りだしている。

政府によるクラウド融資企業への圧力が、中国FinTech投資を鈍化させているものと思われるが、将来的に規制水準が確立されるとともに、再び活性化する可能性は高い。

第1四半期の特徴としては、規模の大きいFinTech企業による事業拡大が目立った点だろうか。ユニコーンの代表、SoFiがモバイル・バンキング・スタートアップのゼンバンクス を1億ドル(約110億4400万円)で買収したほか、4億5000万ドル(約496億9800万円)の資金を調達してアジアやオーストラリアにも進出を果たした。

また中国アリババの子会社、アント・ファイナンシャル は韓国のSNSカカオを2億ドル(約220億8800万円)で買収した。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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