証券投資を始めてみたけれど、いつ、どんな税金がかかるのか実はわからない…という方は意外と多いのではないでしょうか。今回は、そんな証券投資の未経験者・初心者の方むけに、証券投資での利益にかかる税金についてお話しします。

証券投資における税金の仕組みとは

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(写真=pathdoc/Shutterstock.com)

そもそも、これまで上場株式・投資信託・債券などに投資をしたことがない方や初心者の方などが、確定申告した経験がないことで、税金について漠然とした不安を感じるのはよくあることでしょう。そのような方がとりあえず知っておいたらというポイントはどこでしょうか。

まず前提となることは、証券投資を行うなかでの利益に対しては、原則、税金がかかるということです。ただし、NISA(少額投資非課税制度)での利益は例外となります。

証券投資による利益は大きく分けて2つあります。1つめは譲渡所得で、保有している有価証券などを売却して得た利益です。2つめは利子・配当所得で、債券や上場株式などの保有者に支払われる利子・配当金・分配金などです。

そして、この譲渡所得や利子・配当所得は上場株式等(特定公社債等を含みます)のグループで申告分離課税の対象となっています。

譲渡所得に対する税率は、所得税等15.315%、住民税5%を合わせた20.315%で、原則として、投資家自身で1年間の譲渡損益・譲渡所得等の金額の計算をして確定申告をすることが必要です。利子・配当所得については、支払われる際に同じ税率の20.315%が源泉徴収されるので、申告しないで納税を完了させることもできます。

納税を簡単に行う方法について(確定申告と特定口座の利用)

証券投資の対象となる上場株式等には、文字どおりの上場株式のほか、上場または公募の証券投資信託、公募公社債などが含まれます。そして、その譲渡損益は申告分離課税の対象ですから、その年の1月から12月までの1年間の取引の損益を投資家自身で計算して確定申告を行う必要があります。

上場株式等で取得日・銘柄別の取得価額が確認できるものは特定口座内での管理が可能ですが、そうでない場合には一般口座での取扱いとなり、取得価額の把握や譲渡による損益計算は自分で行います。複数の取引口座がある方はすべての譲渡の取引を所定の申告書類に記載して、その1年間の譲渡所得を申告する必要があります。

ただし、1年間の譲渡所得の合計が譲渡損失で終わっている場合、その譲渡損失を翌年以後3年間に繰り越し、各年の上場株式等の譲渡益から控除することができます。

このように、一般口座での取引の納税手続きは、確定申告に慣れていない人にはかなり煩雑なこともあり、大多数の投資家は「特定口座」の仕組を使って、取引金融機関による納税手続きの代行により申告不要を選択しているようです。

特定口座には、『源泉徴収あり』と『源泉徴収なし』のタイプがあり、毎年そのどちらかを選択することができますが、取引金融機関の納税代行が行われるのは「源泉徴収ありの特定口座」で、こちらを選択しておけば自動的に納税が完了するので手数がかからず、そして、うっかり納税を忘れてしまうということもありません。

「源泉徴収なしの特定口座」を利用する場合には納税代行が行われないので、取引金融機関から送られてくる、1年間の上場株式等の譲渡所得等の金額などを記載した「特定口座年間取引報告書」を利用して簡易な確定申告を行う必要があります。

利子・配当所得は1年間の譲渡損失の合計と損益通算できる

証券会社等で取引されている特定公社債の利子、上場株式の配当金、公募の証券投資信託の分配金については、いずれも申告分離課税(申告不要も可)の対象となっていますが、特定口座、一般口座を問わず支払われる際に源泉徴収されます。

申告分離課税を選択した利子・配当所得は、その1年間の上場株式等の譲渡所得の合計が譲渡損失だった場合、確定申告をすることで損益通算することができ、源泉徴収されていた税金の還付を受けることができます。

また、「源泉徴収ありの特定口座」ですべての取引を行い、株式数比例配分方式の選択を行うなどの手続きを済ませていれば、年末に譲渡所得の合計が譲渡損失となった口座に受け入れた利子・配当所得との損益通算が自動的に行われ、源泉徴収されていた税金の還付が受けられます。

「一般口座」や「源泉徴収なしの特定口座」で取引をされている場合と同様、「源泉徴収ありの特定口座」であっても複数の金融機関での取引があり、譲渡所得がプラスとマイナスの口座に分かれているようなケースでは、確定申告を行って譲渡損益を通算したうえで、利子・配当所得と損益通算することができます。

NISAを上手に活用したい

税金が気になる方には、ぜひとも知っておいていただきたいのがNISA(少額投資非課税制度)です。

成人による投資を対象として平成26年からスタートし、平成28年にはジュニアNISAが創設され、平成30年からは積立NISAへと制度が拡大されており、証券投資の果実である譲渡所得と配当所得が、一定期間非課税となる制度ですから、上手に活用したいものです。

ただ、NISAの非課税の意味は、いわば配当所得や譲渡所得がなかったものとする仕組みのため確定申告の対象ではなく、NISAで発生した譲渡損失を他の口座の譲渡益や利子・配当所得と損益通算するということはできません。この点は要注意でしょう。

源泉徴収ありの特定口座がオススメ

源泉徴収ありの特定口座を利用して申告不要を選択した(確定申告をしない)場合、その特定口座内での上場株式等の譲渡所得等や利子・配当所得の金額については合計所得金額に算入されないため、確定申告したために国民健康保険の保険料や医療費の窓口負担には影響が出るのではないかという心配はいらなくなります。

ということで、新規に取引口座を開設する際には、申告納税の煩雑な作業もなく自動的に納税が完了する「源泉徴収ありの特定口座」を同時に申し込むことをお忘れなく。(提供: お金のキャンパス

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