韓国で船旅への注目が高まっているようだ。福岡、下関、対馬の各港と釜山を結ぶ船舶の利用者が2016年度に100万人を超え、九州運輸局が1999年に調査を開始して以降で最多を記録した。

日本を出航する国際定期船は韓国が5航路と最も多く、ロシアと中国が2航路、台湾が1航路それぞれ就航している。

出張も貨物も国内感覚

韓国経済,国際フェリー
アミューズメントフェリー・ニューかめりあ(写真=筆者、2010年撮影)

下関と釜山を結ぶ関釜フェリーは1965年の日韓国交樹立を機に計画され、1970年に運航を開始。1983年からは釜山に本社を置く釜関フェリーとの共同運航となった。運賃は利用する客室によって9000円から28000円で、下関、釜山それぞれの港を19時頃に出発し、翌朝8時頃に到着するデイリー運航を行なっている。船舶は未明に到着地の港内に着くが、税関や入国管理業務が開始するまで接岸せずに港内で待機するため、乗船時間は12時間以上になる。

フェリーが運ぶのは人だけでない。日本と韓国、双方のナンバープレートを装着したトラックが魚介を積載して乗船する。一般に輸入通関や輸出通関は1日から数日を要するが、国際フェリーで運ばれる貨物の通関は半日もかからない。昼過ぎまでに搬入した貨物は数時間で輸出通関を終え、その日の便に積み込まれる。到着した貨物も多くが午前中に輸入通関を終える。朝のうちに水揚げされた魚介を翌日の夕食までに国境を超えて届けることができるのだ。

国際フェリーは自家用車の航送も可能だ。韓国の代表的な磁器の産地である利川に食器等を買い付けに訪れる業者もいる。仮ナンバーなどの制度はなく、フェリーで渡航した車両は日本のナンバーを装着したまま韓国内を走行する。

博多港と釜山港を結ぶ航路はフェリーと高速艇が運航している。カメリアラインが運航する国際フェリーは、1隻でデイリー運航を行なっている。博多港から釜山港は昼行で、釜山から博多港は夜行便だ。

JR九州高速船は、博多港と釜山港を3時間で結ぶ高速艇「ビートル」を運航している。格安航空会社(LCC)の方が搭乗時間は短いが、港湾を中心に発達した市街地間の実際的な移動時間は大差なく、高速艇の利便性を高いと感じる人も少なくないだろう。

関西圏も最短翌日に

大阪港と釜山港を結ぶフェリーは週3便運航されている。15時頃に出航するパンスターフェリーは翌日の午前10時頃に到着する。博多や下関などと比べて移動時間が長い船内には、ちょっとしたクルーズを体験できる空間が用意されている。

国際フェリーは大都市間だけではない。鳥取県の境港から韓国江原道の東海港を経由して、ロシアのウラジオストックに向かうDBSクルーズフェリーがある。

韓国の北東部に位置する江原道は、日本企業の誘致に積極的だ。一定の条件を満たすと税金の免除などが受けられる原州の企業団地には、カルビー <2229>、日本ベルム、芦森工業 <3526> などが進出している。電気や水などのインフラに加え、借地方式で利用する地代も安い。

DBSクルーズフェリーが発着する東海岸と内陸部を結ぶ高速道路は、2018年に開催予定の平昌五輪に合わせて整備が行われ、移動時間が大幅に短縮されている。原州の企業団地を出荷した荷物を翌日中に関西圏に届けることもできるのだ。

国際フェリーは移動時間が長く、LCCが台頭してきた昨今、運賃面でのメリットもなくなってきているが、広くゆったりとくつろげる船内は、飛行機の旅とは違う旅行スタイルを提供する。フェリーによる国際貨物は、航空便より安く船便より早いといわれてきたが、うまく活用することで、航空便より早く届けることができる。

余談だが、半島有事の際には空港は早々に閉鎖される可能性があり、国際フェリーによる脱出を真剣に考えている人もいる。(佐々木和義、韓国在住CFP)

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