昔から宇宙開発や違う星への移住に関する映画や小説は多い。しかし、2017年の現在でも、地球以外の星への移住はおろか、多くの人にとって、宇宙は憧れることはあっても未知の世界のままだろう。
しかし、米国には「人類を火星に送る」と豪語する男がいる。男の名はイーロン・マスク。今回は、そんな夢物語のような話に挑戦するイーロン・マスク氏について紹介していく。
イーロン・マスク氏とは
イーロン・マスク氏は、1971年生まれの南アフリカ出身の米国人起業家である。自身で手掛けるカリフォルニア州のシリコンバレーに本社を置く電気自動車の製造・販売会社「テスラ」、同じくカリフォルニア州のホーソーンに本社を置く「スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ (通称スペースX) 」の最高経営責任者である。
マスク氏は、有名なアメリカンコミックで、映画化もされた『アイアンマン』に登場する主人公トニー・スタークのモデルになったといわれている起業家だ。PayPalの前身であるX.com社でのオンライン決済サービス、宇宙事業開発のスペースX、電気自動車産業のテスラ、太陽光エネルギー事業のソーラーシティなど幅広い分野で起業や出資し、その卓越した経営手腕で、現在、多くの注目を集めている。
マスク氏は幼少期からコンピュータに触れ、プログラミングをしていた。驚くことに12歳の時にはすでにソフトウェアを作り上げ販売していたという。名門スタンフォード大学の大学院に進学したものの、起業に関心のあったマスク氏は「Zip2」というソフトウェア開発会社を興すために、せっかく入学した大学院を2日で退学するに至った。結果的には、この起業が成功して、多額の売却資金を手にしている。
その後、この資金を元手に、世界的に有名なオンライン決済サービス「PayPal」の前身をつくった。そして「PayPal」をeBayに売り渡すと、今度はその売却資金を元手に宇宙事業に乗り出したのだ。この宇宙事業開発は、民間企業では初となる軌道にのった宇宙機の回収にも成功し、マスク氏自身もスペースXを通じて宇宙事業開発に積極的に取り組んでいる。
イーロン・マスク氏の夢
これだけの成功を収めているマスク氏には、人類を火星に送り届けるという壮大な夢がある。この目標を達成するための課題を次のようにとらえているそうだ。宇宙旅行が現実的でないのは、コストの問題が大きいという。
その問題を解決するひとつの手段が「ロケットの再利用」だ。現在、米国のNASAを含めて、有人飛行ロケットは「使い捨て」が一般的だ。しかし、それではいくら技術革新などで製造費が下がっても、大幅なコストダウンは見込みづらい。そこでアイディアとしてあがったのが「ロケットの再利用」だ。
さらにマスク氏は、宇宙空間に燃料補給所のような場所を設置して、宇宙空間で燃料補給することで、さらにコストダウンできると説く。NASAが月に人類を送った「アポロ計画」を含めて、これまで往復の燃料を積んだ状態で出発するのが一般的な考え方だった。
しかし、その考え方で地球と火星を往復するロケットを作るとなると、巨大な燃料を積んだロケットを作らないといけない。宇宙空間に燃料補給所を設置すれば、巨大なロケットを作らずに済む。もちろん、燃料補給所は再利用できる。ちょうどテスラが、全米に電気自動車 (EV) 充電施設を作って、一気にコストダウンを図った方法と似ているかもしれない。
これらの施策を打つことで火星探索および移住のコストを下げ、最終的には1人あたり数千万円程度の費用で済むという。今後、40?100年かけて100万人の人類を火星に送りこみ、独自の文化を火星上に築くことを目標としている。さらに、それだけにはとどまらず、土星や木星、その周辺の惑星までの移動を目指して、惑星間輸送システムという名のもとに壮大な夢を描いているのだ。
確固たる意志に人や資金が集まる
彼の経歴を見ると、どんなに壮大で困難な夢も実現しそうな気になってしまう。それはイーロン・マスク氏の並外れた行動力と頭脳、さらに優れたマネジメント能力の賜物といえる。いくらコストダウンができたとしても、この移住計画には莫大な資金が必要だが、マスク氏の夢やビジョンに共感して、資金を出す人や団体も存在するだろう。
火星に移住する計画も、我々の予想よりもずっと早く、現実のものになる日が来るかもしれない。
(提供: 大和ネクスト銀行 )
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