ビジネスマンや株式投資に興味がある人は、定期的に日経平均株価などをチェックしているだろう。しかし、それは本当に重要な指標なのだろうか。重要であったとしても、違う角度から見ることも大切なのではないだろうか。

私たちは日本人で、どうしても日本人の目線で見てしまう。しかし、大きな視点で考えると、世界には日本人以外の人の方が多い。従って、日経平均株価は円建てだけではなく、ドル建てで見る必要もありそうだ。今回は、そんな「ドル建て日経平均株価」について解説する。

ドル建て日経平均とは

(写真=Maksim Kabakou/Shutterstock.com)
(写真=Maksim Kabakou/Shutterstock.com)

日経平均株価は一般的に日本円ベースでの株価を表示するのに対し、「ドル建て日経平均株価」は米ドルベースでの価格を算出する。計算方法はいたって単純で、日経平均が20,000円で、ドル円レートが1ドル=100円の時には、ドル建て日経平均株価は200ドルになる。

日経平均株価が一定のままだと仮定すると、ドル円為替レートがドル高円安に振れればドル建て日経平均株価は下落し、ドル安円高に振れればドル建て日経平均株価は上昇する。もちろん、実際には日経平均株価が一定のままで推移する可能性は極めて低いので、円建て日経平均株価の騰落の影響を受けることになる。

ポイントは、ドル建て日経平均株価の騰落の変数が「円建て日経平均株価」と「ドル円為替レート」の2つ存在するということだ。つまり、仮に「円建て日経平均株価」が10%上昇しても「ドル円為替レート」がドル高円安方向に20%進めば、ドル建て日経平均株価は下落してしまう。逆もまた然りだ。

円建て日経平均とドル建て日経平均で景色が違う

実際に、円建て日経平均株価がアベノミクス高値をつけた2015年6月24日と、2016年度最終営業日である2017年3月31日を比べてみよう。前者は終値ベースで20,868円、ドル円レートは123円93銭、ドル建て日経平均株価は約168.40ドルであった。後者は終値ベースで18,909円、ドル円レートは111円90銭、ドル建て日経平均株価は約169.07ドルであった。

円建て日経平均株価では、2,000円近く下落しているのにも関わらず、2017年3月31日の方がドル建て日経平均株価が上昇している。なぜならば、円建て日経平均株価の下落率よりも、ドル円レートがドル安円高に進んだからだ。このように、為替レート次第では、円建て日経平均株価とドル建て日経平均株価の景色が大きく変わる可能性がある。

ここでもうひとつ重要なことが、日本株式市場の売買シェアの6?7割を外国人が占めているということだ。そして、金融マーケットにおいては、基軸通貨は米ドルである。そのような背景を鑑みると、外国人投資家にとっては、日経平均株価に関わらず、円建てよりもドル建ての方が馴染み深いといえるかもしれない。実際に投資をしなくても、ドル建て日経平均株価を見て日本株を評価する可能性もある。

ドル建て日経平均もきちんと把握すること

上記の比較例では、日本人から見ると2015年6月のアベノミクス高値を2年近く抜くことができず、日経平均株価の停滞感を感じているかもしれないが、外国人投資家から見ると、もしかしたら日本株の堅調さを感じているかもしれない。

なぜならばドル建て日経平均株価は、2017年に入ってからアベノミクス高値を更新するどころか、170ドル台を回復し2000年以来、約17年ぶりの高値をつけている。この事実を見ても、円建て日経平均株価とドル建て日経平均株価の双方の数字やトレンドを確認する必要があるといえる。

ある意味、ドル建て日経平均株価こそが「世界から見た日経平均株価」の本当の評価対象ともいえる。円建ての資産価値ばかりを気にするのではなく、ドル建て日経平均株価の動向を加味して考えることによって、株式市場の動きがより正確に見えてくるだろう。

(提供: 大和ネクスト銀行

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