シティグループの強み

シティグループの強みは、新商品や販売チャネル、サービスの革新に対して継続的に投資し、富裕層のお客様基盤を拡大している点にあります。2014年6月24日、シティグループ のアジア地域ウェルスマネジメント事業の運用資産が、5月末時点で前年同期比10%増の2510億ドル(約25兆5900億円)に達し、過去最大となりました。新規顧客の獲得が寄与したとしています。2013年末時点の運用資産は2280億ドルでした。シティグループはアジア13カ国・地域で63万人余りの顧客にウェルスマネジメント・サービスを提供しています。


シティグループの経営戦略

シティグループは、富裕層向け資産運用部門強化を強化しています。富裕顧客向け優遇プログラムである「シティゴールド」の中でも上位顧客層を対象に、米国でウェルスマネジメント(富裕層向け資産運用)部門の強化を図ろうとしています。シティグループによるシティゴールドのプログラムは、リテール店舗を通じた個人向け投資サービスの売上向上を狙っています。

また、シティグループは、裕福ではあるが、プライベート・バンキング・サービスを受けるほどの超富裕層ではない顧客を引きつけるため、優良顧客向けサービスに力を入れています。従来のシティゴールドの顧客は預入資産5万ドル以上が対象で、金利が優遇されています。サービス拡充後のプログラムでは、10万ドル以上の顧客もファイナンシャル・アドバイザーの助言を受けられます。

ただし、専任の担当者は付きません。ネット資産が50万ドル以上の顧客に対してリレーションシップ・マネジャーとファイナンシャル・アドバイザーが1人ずつ配置されます。資産規模300万ドル以上になると「シティゴールド・プライベート・クライアント」の資格を得て、資産運用担当チームが付く上、プライベート・バンキング部門の投資助言を受けられます。

シティグループのインターナショナル・パーソナル・バンク(IPB)(シンガポール)は、アジア太平洋地域に住む個人富裕層のオフショアでの銀行取引上のニーズに応えるため、1983年に設立されました。

IPBでは、グローバルなライフスタイルの、資産15万米ドル以上を有する個人顧客に向けて銀行取引、投資に関するサービスを提供するとともに、ご指定の地域での資産の増加、保護、保全をサポートしています。IPBでは、多言語対応の顧客関係管理マネジャーと高度な訓練を受けた専門家チームを揃えているほか、顧客の皆様が簡単に日常の銀行取引上のニーズを満たし、電話、ファックス、インターネット、世界各地のATM140万台を通じてアクセスできるよう広範囲に及ぶ様々な金融の選択肢を用意しています。


まとめ

超富裕層を対象とするプライベート・バンキングのサービスは、「ファミリー・オフィス」と呼ばれ、金融サービス以外に、絵画の紹介、別荘の紹介、子供に対して留学先やホームステイなどの紹介などがあります。一人の顧客に対して、金融機関では不動産、事業継承、有価証券の運用や税務相談等の各分野の専門家が対応します。日本では、2004年のシティバンク、2012年の英金融大手HSBCによるプライベートバンク事業からの撤退があり、プライベート・バンキングは根づいていませんが、アジアではプライベート・バンキング市場が拡大しています。

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