住友金属鉱山 <5713> は日本を代表する企業の一つだ。その名を聞いたことのない人はほとんどいないだろう。「住友財閥」の源流の一つである同社は、1590年に設立した京都の銅製錬所を起源に持つ、金や銅などを手掛ける非鉄金属企業である。

注目されるのは、先週23日に同社の株価が年初来高値を更新したことだ。今回は住友金属鉱山の株価上昇の背景をみてみよう。

「住友財閥」発展の基礎を築いた銅山

住友金属鉱山,株価
(写真=Thinkstock/Getty Images)

「別子(べっし)」。古くから株式投資をやっている人は住友金属鉱山のことを、親しみをこめてそう呼ぶ。別子とは、かつての日本三大銅山の一つで愛媛県新居浜市にあった「別子銅山」のことだ。

住友金属鉱山が保有していた別子銅山は、同社はもとより住友財閥発展の礎となった。1973年に閉山となったものの、日本の近代化を支えた場所として世界遺産登録の動きも出ている。本稿でも同社を親しみをこめて「別子」と呼ぶことにしよう。

別子の2017年3月期の「セグメント別売上」を見ると、主に金の資源セグメントの構成比が16%、主に銅やニッケルの精錬セグメントが72%となっている。つまり、金や銅の価格が上昇すると別子の「業績が良くなる」との連想が働いて株価が上昇する場面が度々見られる。今回の株価上昇の背景にも金や銅価格の上昇があると指摘されている。

金と銅の価格は上昇傾向

ちなみに、最近の金価格は地政学リスクの高まりで注目を集めている。ニューヨーク商品取引所の金先物価格は昨年末の1150ドルから現在の約1290ドル程度まで12%ほど上げている。米国で最大の金ETFであるSPDRゴールドも年初来の高値圏にあるほか、米国で金鉱株と言われるニューモント・マイニングも高値圏で推移しているのだ。

一方、銅の価格も上昇傾向にある。同じく銅先物の価格は昨年末の2500ドルから現在は約3000ドルまで約20%上昇している。中国の需要堅調に加えて、チリの大手銅鉱山のストライキによる供給不安等が支援材料となっている。

中国が世界最大の「EV大国」に

見逃せないのは中国の動向だ。中国は世界最大の「EV(電気自動車)大国」であることをご存知だろうか。

国際エネルギー機関によると2016年におけるEVの世界販売台数は200万台で、そのうち中国が65万台と米国(56万台)を抜いて世界最大となった。中国は国策としてEVの普及を支援しているが、それにともなってEVに使用される「銅の需要」が増加するとの観測も広がっている。

別子は銅価格の上昇のメリットはもちろんのこと、EVの普及によってさらに大きなメリットを受ける。「材料セグメント」で車載用やスマホのバッテリー材料を手掛けているからだ。たとえば、EV向けには車載用リチウムバッテリーの正極材を手掛けている。

現在、株式市場ではEVの普及で恩恵を受ける「リチウムバッテリー関連銘柄」が注目を集めている。具体的にはパナソニック <6752> やダブルスコープ <6619> 、戸田工業 <4100> などである。別子もそうした流れに乗って人気化している側面もあるようだ。金や銅の価格だけでなく、EV市場の動向にも引き続き注目していきたい。

平田和生(ひらた かずお)
慶応大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。日本株トップセールストレーダーとして、鋭い市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスで国内外機関投資家、ヘッジファンドから高評価を得た。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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