建売住宅
(写真=PIXTA)

ひとくちに建売住宅といっても、ピンからキリまでさまざま。首都圏を例にとれば、不動産経済研究所の調査では、2017年度の平均価格は4833万円で、東日本不動産流通機構の調査では3506万円。同じ首都圏でありながら、両者には、何と1400万円近いが差がある。これは、いったいどういうことなのだろうか。

目次

  1. 大手の大規模物件と中小の小規模物件の差
  2. どちらがいいのかは年収や価値観などによる
  3. ブランドにこだわらずに実質重視の考え方も
  4. 新築でも仲介物件には仲介手数料がかかる
  5. 完成済みならその月中の引渡しも可能に
  6. 建売住宅見学の7か条
    1. 1.まずは最寄り駅から現地までの立地確認
    2. 2.日当たりなどを左右する平面的位置
    3. 3.家事動線などの使い勝手はどうか
    4. 4.将来の変化に対応できる間取りプランか
    5. 5.外構などはどこまでついているか
    6. 6.設備はどこまで付いているのか
    7. 7.保証制度やアフターサービス

大手の大規模物件と中小の小規模物件の差

まず、不動産経済研究所の調査は、1回当たりの販売区画数が10区画以上の規模の大きな建売が対象。何期かに分けて販売されるので、全体では数十戸から100戸を超える大規模開発が中心であり、開発主体は大手不動産会社や大手住宅メーカーなどになる。中堅以下では、こうした大規模開発は資金面などから難しいのが現実だ。

敷地面積も比較的ゆったりしていて、敷地内に公園や緑地などや居住者が利用できる施設などが設置されることもある。大手中心だから、建物のグレードも高く、住宅設備なども充実している。価格が高くなるのも止むを得ない面がある。

対して、東日本不動産流通機構の調査は、住宅仲介のためのネットワークシステム(レインズ)に登録された物件が対象。中堅ビルダーや地場工務店などのなかには、営業部門を持たずに、仲介会社に販売を任せるケースが多く、自動的にレインズに登録される。1戸、2戸から始まり、数戸レベルの建売住宅が中心で、敷地面積も100㎡を切る物件が珍しくない。

建物もコストを抑えたグレードがさほど高くないものが中心で、門扉などの外構もついていないことが多く、各種設備もリーズナブルなものになっている。たとえば大手のグレードの高い建売住宅だと、ドイツ製の食洗機がついていて、国産でもパナソニックや三菱電機などの大手製だが、中小工務店の建売住宅では、標準装備としては付いていないのがふつうで、ついていても国内の名も知らない中小メーカー製になる。そうしたさまざまな違いから、平均すると1400万円近い差が生じているわけだ。

どちらがいいのかは年収や価値観などによる

どちらを選ぶべきか、それは第一義的には、年収などの購買力に左右される。年収が高くて、十分な頭金があれば5000万円にも手が届くだろうが、そうでない人もいる。まず、自分たちの置かれている環境から予算をはじき出して、現実的にどこまで手に入るのかを見極める必要がある。

ただ、そうはいってもどうしても大手の建売にこだわりたいというのであれば、何年か頑張って貯蓄に励み、頭金を増やす一方、年収がアップするのを待つというのもひとつの選択肢だろう。頑張ってみるだけの価値はある。

たとえば、3000万円で建売住宅が手に入っても、20年後、30年後には大規模な修繕などが必要になり、50年後には建て替えなければならないということもありうるだろう。

一方、5000万円しても、基本性能が優れている維持管理にさほどお金がかからず、孫の代まで100年住めれば、1年当たりのコストは50万円になる。3000万円で50年だと、1年当たり60万円だから、長い目でみればむしろ5000万円のほうが安いといった考え方もできるのだ。

ブランドにこだわらずに実質重視の考え方も