(写真=PIXTA)
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目次

  1. 「一戸建ては無理だからマンション」は間違い!
  2. いきなり一戸建てを買う人が増えている
  3. マンションは管理費など維持費の負担も大きい
  4. 住んでいる間の居住性や自由度を比較する
    1. ○マンションのメリット(一戸建てのデメリット)
    2. ○ 一戸建てのメリット(マンションのデメリット)
  5. 将来の資産価値は一部を除いて「一戸建て」が有利

結婚後には賃貸アパートに住んで、やがて分譲マンションを購入、ゆとりができれば最後に一戸建てでアガリ――かつては、そんな“住宅双六”がもてはやされた。

それだけ庶民にとって一戸建ては高嶺の花で、マンションのほうが手に入りやすかった。そしていったんマンションを買っておけば、やがてはその価格が上がって、一戸建てへのステップアップが可能になる住宅市場が存在したのだ。

しかし、いまはそんなことはない。まだまだマンションより一戸建てのほうが高いと思い込んでいる人がいるかもしれないが、実はそうではない。たしかに、自分で土地を手配して、そこに高級な注文住宅を建てるとなるとマンションよりはるかに多額の予算が必要になるが、建売住宅でいいのなら、むしろマンションより安く手に入る。

「一戸建ては無理だからマンション」は間違い!

半面、住宅を取得すれば、10年、20年後には高く売却できるという住宅市場も崩壊、いったん買ってしまうと、買換えは至難の技となっている。一部都心部などの高級マンションでは値上がりするケースがあるが、平均的な一戸建てやマンションだと、使った分だけ価値が下がり、値上がりどころか取得時の価格より安くしか売れないのが現実だ。

いきなり一戸建てを買う人が増えている

実際に、住宅金融支援機構と民間提携のフラット35を利用して2015年度に住宅を取得した人の平均価格を住宅の形態別に比較すると次のようになっている。

・建売住宅    全国平均 3319.5万円 首都圏3569.1万円
・新築マンション 全国平均 4249.7万円 首都圏4827.1万円
・中古一戸建て  全国平均 2279.0万円 首都圏2773.2万円
・中古マンション 全国平均 2692.2万円 首都圏2975.6万円

全国平均でみても、新築マンションは建売住宅より930万円ほど高く、首都圏だけに限ればその差は1200万円以上に拡大する。中古住宅も同様で、全国平均ではマンションのほうが410万円ほど高く、首都圏では200万円ほど高いという結果だった。

このため、最近では住宅双六におけるマンションを飛ばして、いきなり一戸建てを買う人が増えている。この価格の違いを考えると、それも当然のことだろう。特に、首都圏ではその価格差が大きいだけに、返済負担に与える影響も大きい。

仮に1000万円の頭金があるとすれば、新築一戸建てなら借入額は2570万円ほどですむが、新築マンションだと3830万円ほどのローンが必要になる。金利1.0%、35年元利均等・ボーナス返済なしで計算すると、一戸建てであれば毎月7万2547円ですむが、マンションだと10万8115円に増える。しかも、マンションの場合にはこれに管理費や修繕積立金、クルマがある場合には駐車場料金の負担も出てくるのだ。

マンションは管理費など維持費の負担も大きい