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注文住宅を建てる場合、土地が有るか無いかで資金繰りは全く違ってくる。たとえば、住宅金融支援機構の『2016年度フラット35利用者調査報告』では、土地がある人だと注文住宅の建築費の全国平均は3308.2万円だが、土地を買って注文住宅を建てた人は、土地代が1291.4万円、建築費が2663.3万円で、合計3954.7万円に増える。
土地から始めるケースだと、必要な予算は4000万円近くに増えるうえ、建物にかけられる予算は2600万円台に減少する。土地があって、建物だけのケースに比べてかけられる費用は645万円ほど少なくなるわけだ。
ちなみに、住宅業界の団体などによって構成される住宅生産団体連合会による、『2017年度戸建注文住宅の顧客実態調査』では、土地と建物を合わせて取得した人の合計予算は4889万円。このうち建物の建築費は3535万円となっている。それが、建て替えで土地取得のない人の建築費は4026万円に増える。この調査は大手住宅メーカーで建てた人が中心なので、フラット35の調査結果よりは少し高めの数値になっている。
土地探しからメーカーに依頼する手も
注文住宅では、まずはこの予算管理がたいへん重要になる。土地探しから入ると、いい場所にこだわった結果、当初予定していた土地取得予算を大きく超えてしまい、建物の予算を大幅に削らざるを得ず、結果、バランスの悪い住まいになってしまったといったケースが少なくないといわれている。
このため、大手住宅メーカーの担当者はこんなふうに話す。
「大手はグループ会社に不動産仲介会社を持っています。土地情報にも強いので、できれば土地探しの段階からご相談いただければ、予算とご希望に合わせて土地を探し、それに合った住まいづくりをご提案できます」
もちろん、売上げを上げるための戦略のひとつではあるだろうが、まずは、自分たちにあう注文住宅を建ててくれそうな会社を見つけて、そこに土地探しから一括してお願いしてみるのもひとつの方法だろう。
注文住宅を建てるための三つの工法
そのためには、ある程度の一戸建てに関する知識を身につけて、自分たちにあう物件、会社を見つける必要がある。そのために、まずは一戸建ての工法について知っておく必要があろう。
一戸建ての主な工法としては、次の三つを挙げることができる。
(1)在来工法
木の柱、梁、筋交いを組み合わせて建物の骨組みを形成していくため、木造軸組工法ともいわれ、またわが国古来の工法であるため在来工法ともいわれる。大手では住友林業が代表格で、中堅ビルダーと呼ばれるタマホームや中小工務店のほとんどがこの工法を採用している。
そのため、依頼先の規模などによって価格が大きく異なる。大手では3.3㎡当たりの建築坪単価は80万円、90万円に達するが、中堅ビルダーならその半分程度で可能で、中小の工務店だと30万円台、40万円台などもある。柱、梁で支えるので、開口部をとりやすく、間取りの自由度も高い。また、増改築も比較的容易といわれる。
(2)プレハブ工法
主要部材を工場で生産、現地では組立て作業がメインになる。工場生産比率が高いため、品質管理が徹底し、信頼度が高まる。部屋単位まで工場で生産するユニット工法だと工期も極めて短くなる。
大手住宅メーカーの多く、大和ハウス工業、積水ハウス、積水化学工業(セキスイハイム)、旭化成ホームズ(ヘーベルハウス)、パナホームなどがあり、主要部材によって鉄骨系、木質系などに分かれる。全国メーカーであり、研究開発費、広告宣伝費などもかかり、価格はかなり高めだが、その分信頼度は高いといっていいだろう。
(3)2×4工法
2インチ・4インチの角材から成るパネルで壁、床、天井の六面を構成する。カナダ、アメリカなどの北米においてはこの2×4工法が在来工法。面で支えるため、断熱性・気密性が高く、耐震性や耐火性などに優れている。その分、開口部に制約があり、間取り変更、増改築などにも難しい面がある。
大手では三井ホームが代表格で、スウェーデンハウス、三菱地所ホームなども実績が豊富で定評がある。ただし、いずれも価格的にはかなり高めで、設備などを含めると坪単価100万円を超えるケースも珍しくない。最近は、2インチと6インチの組み合わせで、一段と性能がアップした2×6工法の住宅も増えている。