中国家電大手6社の決算が出そろった。ネットニュースサイト「今日頭条」が伝えた。上位は3社売上を大きく伸ばし絶好調だが、下位3社は微増にとどまっている。大手3社による寡占傾向が顕著になっているようだ。以下その内容を見ていこう(1元=16.8円)

6位~4位 売上微増

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(写真=testing/Shutterstock.com)

第6位 海信(Hisense)山東省・青島 1969年創業

2017年上半期売上135億6700万元、前年比▲2.09% 営業利益4億6500万元、前年比△43.2%。カラーテレビに強み。Hisennse、Kelon、 Ronshenの3ブランド、世界130の国と地域に販売。ロシアWカップオフィシャルスポンサー。日本法人は、ハイセンスジャパン。

第5位 長虹(Changhong)四川省・綿陽 1958年創業

2017年上半期売上347億6300万元、前年比▲6.02% 株主利益は1億5500万元、前年比△66.6%。元は軍事用レーダーの生産企業、カラーテレビ、エアコン、洗濯機、冷蔵庫など生活家電に強み。米州、欧州、オーストラリア、東南アジアに4つの販売子会社、10カ国にビジネスセンター。2015年旧三洋電機の中国液晶工場を買収。109の国家と地域に販売。日本法人なし。

第4位 TCL 広東省・惠州 1981年創業

2017年上半期売上522億6元、前年比▲7.93% 営業利益16億6000万元、前年比▲110.8%。カラーテレビ強い。グループ4社が上場。2014年旧三洋電機のメキシコのテレビ工場を買収している。また日本ではアルカテルブランドのスマホを販売。160の国と地域に販売。日本法人はTCLジャパンエレクトロニクス

3位~1位 売上激増

第3位 格力(GREE) 広東省・珠海市 1985年創業

2017年上半期売上691億8500万元、前年比▲40.67% 株主利益94億5200万元、前年比△47.6%。エアコン強い。生活家電やスマホも。パキスタンとブラジルに生産拠点。ダイキンと合弁工場を運営するなど親密。日本法人なし。

第2位 ハイアール(Haier)山東省・青島市 1984年創業

2017年上半期売上775億7600万元、前年比▲59.01% そのうち海外比率が45% すべて自社ブランドの売上で、海外利益は44億2700万元、前年比▲33.5% 国内利益は15億9600万元、前年比▲27.2%。洗濯機、冷蔵庫は世界トップ。2011年、かねてから関係の深かった三洋電機の白物家電事業を買収。日本法人はハイアールジャパンホールディングス、輸入と販売はハイアールジャパンセールス。

第1位 美的(Midea)広東省・佛山市 1968年創業

2017年上半期売上1244億5000万元、前年比▲60.53% 株主利益108億1100万元、前年比▲13.9%。買収した東芝白物家電部門は、売上75億3100万元、9202万7000元の欠損だった。大型空調、生活家電に強み。国内15生産基地、海外はベトナム、ベラルーシ、エジプト、ブラジル、アルゼンチンに生産基地、世界200の国と地域に販売。2016年、東芝の白物家電、ドイツのロボットメーカー「クーカ」を買収。日本法人は日本美的。

世界で闘えるのか?

三洋電機の遺産が3社に受け継がれている。新たに東芝の白物家電もトップメーカーの美的に渡った。これで日本企業の買収傾向に終わりが見えてきた。しかし中国メーカーは、日本メーカー衰退の原因となった、垂直統合、自前主義まで引き継いでいるようにも見える。次はこのままで世界と闘えるのかどうかに焦点が移る。

上位3社による寡占化傾向はこの予兆かも知れない。下位3社は明らかに頭打ちになっている。一方では鴻海などEMS企業が力を増している。小売業がEMS企業に発注してヒット商品を作る流れも強くなってきた。上位3社といえども決して予断を許さない状況ではないだろうか。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

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