「保険は住宅の次に大きな買い物」だと聞いたことはありませんか? 毎月支払う保険料だけを見ていると気づきにくいのですが、保険は1000万〜2000万円もする高額商品です。生命保険文化センターの調査によると、保険料の支払額は平均で年間38.5万円。30年支払いつづけると1155万円、40年なら1540万円になります。「保険営業員に勧められるままや、なんとなく入っている人がじつに多くいます。さらに、自分が加入している保険の内容をしっかり把握している人は少ないのが現状です。何千万円という商品を「なんとなく購入する」のはとても怖いことだと思いませんか。しっかり商品の特徴を見比べて考えていくことが大切です。

(本記事は、長尾義弘氏の著書 保険はこの5つから選びなさい 河出書房新社(2016年3月5日)の中から一部を抜粋・編集しています)

まずは「リスク」を整理してみよう

保険,選び方
(画像=Webサイトより)

交通事故にあった、がんになった、入院が長期にわたった場合、家族を残して亡くなったなどでは、金銭的な問題が発生します。保険は、それらを解決してくれる味方になりますが、すべての心配ごとに保険をかけるのはナンセンスです。保険料の支払いで家計が圧迫されて、苦しい生活を続けては本末転倒でしょう。まずは、本当に必要な保険は何か、それだけを見極めることが肝心。これこそが家計のリスクコントロールです。

家計のリスクコントロールでは、「リスクの転嫁」「リスクの保有」「リスクの軽減」の3つにわけて考えていきます。

・リスクの転嫁

転嫁とは移し替えることを意味します。つまり、自分ではどうしようもないこと、できないことを、他のところに移し替えて人任せにするのです。たとえば、小さい子どもを残して亡くなった場合、残された家族の生活費、子どもの教育費など、将来にわたって数千万円のお金が必要になってきます。こういうときこそ保険の出番だといえます。損失が大きく、まったく対処しきれないようなリスクに対しては、保険をつかって「リスクの転嫁」を考えてみましょう。

・リスクの保有

リスクを自分の中で処理することです。頻繁には起こらないけれど、たまに起きるかもしれず、損失は中程度のリスクを指します。ちょっとした入院などが、これに当てはまりますね。日本は健康保険制度が充実しているので、手術や短期間の入院には、それほどお金がかかるわけではありません。20万円ぐらいの蓄えがあれば、たいていはまかなえると思っていただいても結構です。この程度の金額であれば、貯蓄でなんとかフォローできるのではありませんか。したがって、わざわざ保険に頼る必要はないのです。こういった場合は「リスクの保有」で対処してください。

・リスクの軽減

程度の差こそあれ、経済的な損失は痛手になります。そうした損失が起こらないように、日頃から気をつけることが「リスクの軽減」です。また、起こったときでも、ダメージを最小限にとどめるように備えることです。たとえば、病院にかかると医療費がかかりますが、健康の維持・増進に気を配れば、医療費の支出を防ぐことができるのです。ある程度の経済的損失ならば自分自身で耐えられるように、貯蓄をしておくことも大切です。死亡保険は死亡したとき、医療保険は入院したときといった具合に、保険はそれぞれ、決められた状況に対してだけ保障します。でも、貯蓄ならば、どんなことにも対応できるのです。

保険は"自分のため"を第一に考えよう

「あなたのための保険をカスタマイズしました」と、保険の営業員が設計書をもってきて、保険加入を勧められた経験はありませんか。これは国内大手生命保険会社の商品によく見られる特徴で、「主契約」にいろいろな「特約」がついたパッケージ型の保険です。主契約は終身保険やアカウント型の保険が多く、そこに定期保険特約、医療特約、入院特約、災害特約、三大疾病特約(がん、急性心筋梗塞、脳卒中)、介護特約など、さまざまな特約をのっけて1つの保険にしているのです。特約がいくつもつくので、保険料は高くなります。

パッケージ型は、1つの保険会社・1つの契約で、すべての保険をまとめられる利点はあるものの、結果的には不必要な保険にも入ってしまうことになります。また、特約が多くなることで内容が複雑になり、どんな保障があるのかがわからなくなってしまいます。結果、自分が入っている保険の全体像がつかめなくなり、請求できることも知らないまま「請求漏れ」という損な事態になります。保険はシンプルなのがベストなのです。それに主契約の払い込みが満了となると、特約部分もすべてなくなるという保険が多くあります。使い勝手が悪く、パッケージ型の保険には利点をほとんど見いだせません。

営業員がずっと面倒を見てくれる保険がいいと思っている人もいますが、そうともいえないと思います。営業員の離職率はけっこう高いので、同じ人がずっと担当でいるとは限りません。また、つき合いが長くなると、契約更新のたびに新しい保険を勧められ、結果的には損になっているかもしれないのです。営業員は、保険の売り上げでポイントが決まってきます。死亡保険などは高いポイントがつき、それが給料にも上乗せされるのです。保険は自分のために入るものであって、営業員のためではありません。

"無料相談所"では手数料に注意を

最近は、いたるところで来店型の保険ショップを見かけるようになりました。複数の保険会社の商品をあつかっているので比較ができますし、公平な目で提案をしてくれそうな気がします。しかも相談は「無料」です。なんとも気前のいい話ですが、彼らはボランティアではありません。ちゃんと別のところから収入を得ているのです。

保険ショップは、保険の販売手数料で成り立っています。そして、販売手数料は商品によって異なります。高いものになると、保険料の20〜30%に設定されている場合もあります。年間の保険料が40万円だとしたら、手数料(当初1年または数年まで)は12万円ぐらいになるかもしれません。実際、販売手数料の高いものを勧められるケースが多いことは問題になっています。そのため、2016年から保険を販売する際には「なぜ、その商品を勧めるのかを開示すること」が義務づけられます。

同じことは、銀行の窓口での保険販売にもいえます。銀行も同じように、手数料が高い商品を勧めます。銀行の窓口だといって安心しないでください。保険についてそれほど詳しい知識をもっているわけではなく、何度か研修を受けた程度の人が対応しているのが現状です。比較できる商品も少なめです。タダは魅力的ではありますが、納得できる情報はなかなか得られないと思われます。

保険を決める5つの条件

保険は、複雑でわかりにくい商品です。自分で情報を集めて選ぶとなると、かなり時間と労力をかけなければなりません。まして、保険の知識があまりない人は、いっそう苦労することになるでしょう。そのせいか、保険営業員のトークに乗せられて、うっかり加入してしまいがちです。

・一定期間の保険

ライフプランによって必要な保障は変わってきます。ですから、まったく見直しをせずに、一生涯にわたって同じ保険に入りつづけるのはお勧めしません。保険は状況に応じて、何度か見直していきたいものです。そこで、一定期間を保障する「定期型の保険」にするのがお勧めです。満期が近くなると更新のお知らせが届きますから、更新をするか否か、保障額は変える必要があるか、などと考えるきっかけになると思います。

もちろん、終身保険に入っていて、保険料払い込み満了をすぎた保険を途中解約をすることもできます。ただし、低解約返戻金型終身保険の場合、払い込み満了前に解約をすると、返戻金がかなり少なくなってしまうので注意が必要です。基本的に死亡保険、医療保険、がん保険などは、一生涯の保障は必要ないと考えてください。

・シンプルな保険

保険は金融商品のひとつなので、シンプルでわかりやすい商品を選ぶべきです。大手保険会社では、主契約に特約をいくつもつけたパッケージ型の保険をよく販売していますが、特約が増えればそれだけ保険料も高くなります。それに特約の数が多すぎると、自分の保険にどんな保障がついていたかも忘れてしまいがちです。入院や死亡した場合、黙っていても保険会社から自動的に給付金・保険金が支払われることはありません。保険会社の不払いというよりも、請求漏れのケースが多々あるのです。複雑な保険にしていると、こういったミスも起こりやすいといえるでしょう。

保険は、複雑な仕組みになっていたり、高度な金融知識がないと理解できないような商品ではなく、「死亡するとこれだけの保険金が出る」というシンプルな商品を選ぶべきです。それから、特約をいくつもつけるのではなく、必要な保険を選んで、それぞれ単独で加入したほうがコストパフォーマンスがよくなります。

・貯蓄性のない保険

保険と貯蓄はわけて考えるべきです。両方の機能を保険に求めると、どちらも効率が悪くなります。個人で株やETF(株価指数連動型上場投資信託)などを使って運用する場合は、売買手数料、口座管理手数料(無料の場合も)などは引かれますが、投資金額のほぼ全額を運用に充てることができます。

いっぽう、保険は契約者に支払う責任準備金や保険会社の運営費用が差し引かれるため、全額を運用にまわすわけではありません。しかも、いまは史上最低金利の時代で、魅力のある利回りとはいい難いです。また、保険は超長期の固定金利です。貯蓄性を求めても、インフレでお金の価値が減ってしまうというリスクもあります。

・コスパがいい保険

同じ保障だったら、保険料が安いほうがコストパフォーマンスがいいことになります。ただ、保険は複雑につくられているため、一概に比べることが難しい面もあります。細かな適用事例が微妙に違っていたり、特約がついていたり。種類が多いところも、わかりにくさのひとつとなっているでしょう。正確に比較するなら、保険のプロのアドバイスが必要になってきます。自分で検討をする場合は、ある程度はジャンルを絞って、同じ条件で保険料を計算すると、コストパフォーマンスのいい保険商品が見えてきます。

・使い勝手のいい保険

もしもの場合、保険料が免除になったり、契約の途中でも種類を変更することができる保険を指します。いくら保険料が安くても、保障内容が貧弱ではつかいものになりません。保障されると思って保険金を請求したのに、支払い対象外だったというのでは困ります。

たとえば、収入保障保険に入っていて、がんで余命1年と宣告されたとします。収入保障保険は、年数とともに保障額が減っていきます。家族にすこしでも多くのものを残したいと願っても、余命宣告をされた状態では新しく保険に加入することはできません。しかし、健康状態にかかわらず、収入保障保険を定期保険、または終身保険に変更できる保険商品もあるのです。こうすれば保障額の目減りを防ぐことが可能になります。三大疾病になった場合、以後の保険料は免除になるという特約がつけられる保険もあります。いざというときに柔軟に対応できる保険を選びましょう。

長尾義弘(ながお・よしひろ)
ファイナンシャルプランナー、AFP。お金のしくみ、保険のカラクリについての得する情報を発信している辛口の保険評論家。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。いくつかの出版社の編集部を経て、1997年に「NEO企画」を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生みだす。著書には『商品名で明かす今いちばん得する保険選び』『お金に困らなくなる黄金の法則』(小社刊)、『コワ〜い保険の話』(宝島社)、『保険ぎらいは本当は正しい』(SBクリエイティブ)が、監修には別冊宝島の年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』(宝島社)などがある。

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