修繕は予算を決めて優先順位の上位から

100万円台の築が古く安い物件を買うと、どこもかしこも直したくなり、予算は膨大になってしまいます。しかし、まず修繕で大切なのは、修繕費にいくらまでかけられるかです。目安として、修繕費込みで利回り15%を確保できるかどうかで考えます。たとえば、1DK1戸のマンションを買うとした場合の利回りの計算の仕方です。3万円で貸せるとすると、想定家賃年収は36万円。この年収を期待利回り15%=0・15で割り算します。すると、240万円という数字がでます。これが、物件価格と修繕費を合わせた「利回り15%を達成するための、物件にかけていい予算額」となります。たとえば、この物件が190万円だったとすれば、かけてよい修繕費の予算は50万円ということなのです。こうして出た予算内で、優先順位が高い順から直すようにするのです。

◯最低限取り組みたい修繕

・壁紙
どんなに古い部屋でも、壁が真っ白でピカピカだと印象をアップできます。業者に頼んでもクロス単価は600〜800円程度で十分可能です(ただし、クロス単価が安くても下地や養生代で別に費用がかかっている場合があるので注意!)。1Kなら5万円程度、3LDKの1戸建てでも15万円あればできます。

・トイレ
壁紙、床、天井はきれいでも全部張替えます。一式合わせても1万5000円程度です。ウォシュレットもつけます。コンセントがトイレにあれば、電源工事も不要ですので部材費込みで2万円程度です。

・照明
最低でもリモコン付きシーリングに交換します。自分でもできますが「ひっかけシーリングソケット」になっていないと電気工事が必要になってしまいます。基本1万〜1万5000円(自分でやれば6000円程度)です。

・その他
網戸(1枚1万円〜自分でやれば1000円で十分です)や換気扇、建具、給排水など最低限必要な修繕を1部屋当たり数万円とします。私は状態がいい物件の場合でも、買ったとき空室であれば修繕費で最低でも15万円はかかると考えます。

◯できれば取り組みたい修繕

・床
クッションフロアで十分です。業者でもだいたい1500円程度で、1Kですと2万〜3万円程度で見ます。最近は明るい白系が人気です。

・シングルレバーの混合栓やシャワーカラン
特に台所や浴室が古い場合は行います。金属部分がピカピカだと目線がそちらに引き付けられます(フォーカルポイントといいます)。

・台所やシャンプードレッサー
これも資金に余裕があるのであれば優先的にやります。やはり、水回りが重要です。シャンプードレッサーは2万円程度から、キッチンは公団型という仕様であれば4万円で買えます。ガステーブルも買うとすると7万円程度です。また、キッチンは新品にしなくてもダイノックシートなどを張るだけで、印象をぐっと向上できます。キッチン全面張替えでも1万円で買えます。業者に頼むと手間賃や廃材処分代がかかりますが、それでも新品のキッチンを買うより張替えの方が3分の1程度の費用でできます。

・その他
ドアチャイムや台所照明、玄関灯や玄関ドアの張替えなどもやればやるだけ効果的です。状態を見て、自分が住むなら気になるかどうかも1つの目安です。

リフォーム費用は15〜50万円が目安です。あなたのパートナーである管理会社や賃貸仲介店舗の方と真剣に話し合い、やる・やらないを決めて正確な見積もりを出してください。また、不動産を買うときは、必ず管理会社や修繕業者と物件を見に行きましょう。

広之内 友輝(ひろのうち・ともき)
空き家再生人。1973年北海道生まれ。サラリーマンから起業し7000万円もの失敗を犯すも、地方×格安の「ガラガラボロボロ」物件で復活。日本、カナダやカンボジアでの総投資額10億800万円、現有不動産計26棟306戸を平均利回り16.2%の高利回りで運用(2017年現在)。年収1000万円以下サラリーマン限定の「サラリーマン1億円倶楽部」では、2万4000人のメール会員から選ばれた22人のサラリーマンを資産1億円に導く。

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