逃してはいけない売却のタイミング
100万円台の爆安物件であれば、売れる可能性は高いということはご理解いただけたと思います。では、いつ売ればよいでしょうか。難しいテーマですが、押さえておくべき売却タイミングは「大規模な修理が必要になった」「減価償却が終わって税金が高くなった」の2つです。数千万円超の物件の場合、2つめのタイミングが重要になってきますが、今回想定している物件は100万円台の物件であり、また残債も0円で考えていますので、それほど大きな問題ではありません。問題は大規模修繕が必要になった場合です。ここで、いきなり大規模修繕にぶつかる「不動産のババ」を避けるコツに触れておきます。
マンションの場合を見ていきましょう。大規模修繕とは、マンション区分所有者の共有財産である外壁、屋上防水、給・排水設備などの大規模な修理のことです。おおよそ40~50万円程度の負担が目安です。この負担がマンションを買っていきなり来たら大変です。この「いきなりババ」状況を防ぐためには、購入の際、仲介会社にマンションの大規模修繕歴をもらうことです。おおよそ10年程度が目安ですので、大規模修繕から10年以上過ぎていたら「そろそろかな?」と警戒して、費用を見込んで買うべきです。
また、大規模修繕済!といううたい文句がある物件は、その面では安心です。仲介会社に近々で大規模修繕が予定されているか確認してもらうのも手です。あなたが個人で確認するより丁寧に教えてもらうことができます。
戸建て物件については、事前に物件をきちんと確認することにつきます。そうはいっても、予想できない水漏れなどは起きうることです。この場合は、管理会社とよく話し合い保険適用を受ける準備が必要です。被害を具体的に押さえた写真を撮り、被害をきちんと押さえた見積もりによって、損害費用からあなたは守られます。
売買に重要なのは「入居者」と「家賃」
必ず押さえるポイントは「入居者がいる状態で売ること」です。今回は100万円台の不動産ですので、戸建て、もしくは区分マンションという想定になります。戸建ての場合、入居者が1世帯で満室になるので特に問題にはならないと思いますが、これがアパートなどの収益物件の際は、満室かどうかで、売る勢いが変わります。満室ですと「この物件は入居が安定していそうだ」と、買主に映りますし、ネットサイト上でも「満室」とうたわれます。満室物件専門の絞り込み検索条件すらあるほど注目されています。さらには、融資を使う際にも、金融機関は現状の家賃収入を収益評価に反映します。
次に気を付けるのは、売る前に家賃を数千円でも高くして入居させることです。不動産の売買は「利回り」というものさしが基本です。たとえば、150万円の物件を家賃2万5000円で貸しているとすると、年収30万円÷150万円ですので、利回りは20%です。利回り20%というのは、不動産売買でもかなり高い利回りですので、状態と立地が悪くない限り十分に売れるでしょう。
今度はもっと家賃が高い設定の利回り20%で売ろうと考えてみましょう。たとえば、入居付けに努力して、家賃を5000円アップの3万円で貸していたとします。利回りは20%ですから、年収36万円÷0.2=180万円です。つまり、1.2倍の値段で売れるのです。5000円の家賃アップが、30万円の売却効果を生むのが不動産売買の世界なのです。
今回は1世帯の戸建てやワンルームの話ですが、これがたとえば10戸のアパートだと、影響が掛け算の世界で反映されます。10戸、家賃2万5000円のアパートを利回り20%で売却する価格は、家賃2万5000円×10戸×12か月÷0.2(20%の利回り)=1500万円となります。次にさきほどのケースと同様、この家賃を3万円にした場合、家賃3万円×10戸×12か月÷0.2(20%の利回り)=1800万円となります。つまり、家賃を5000円アップするだけで売値が300万円も変わってしまうのです。将来のより本格的な不動産投資に向けて、売買の際の家賃の大切さを心に刻んでおきましょう。
広之内 友輝(ひろのうち・ともき)
空き家再生人。1973年北海道生まれ。サラリーマンから起業し7000万円もの失敗を犯すも、地方×格安の「ガラガラボロボロ」物件で復活。日本、カナダやカンボジアでの総投資額10億800万円、現有不動産計26棟306戸を平均利回り16.2%の高利回りで運用(2017年現在)。年収1000万円以下サラリーマン限定の「サラリーマン1億円倶楽部」では、2万4000人のメール会員から選ばれた22人のサラリーマンを資産1億円に導く。
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