はじめに

我々の世界は、基本的に10進法が主流となっている。少なくとも各種の数字は10進法で示されている。その意味では、「10」という数値が極めて馴染み深いものになっているはずだが、一方でよくよく考えてみると、世の中に「12」という数字が結構生活の中で使われていることに気付くだろう。

今回は、この数字の「12」について調べてみた。

数字の「12」は多くの場面で使用されている

まずは、年月、時間において、1年は12ヶ月、1日は24時間(=12時間×2)で午前、午後それぞれ12時間、1時間は60分(12×5)、1分は60秒(12×5)といった具合で、12がベースになって定められている。

星座は、12個の月に対応するような形で12個(おひつじ座、おうし座、ふたご座、かに座、しし座、おとめ座、てんびん座、さそり座、いて座、やぎ座、みずがめ座、うお座)ある。

干支も、子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥の十二支ある。

新約聖書では、キリストによって特別の伝道の使命を与えられた12人の(1)(ペトロ、ヤコブ (ゼベダイの子)、ヨハネ、アンデレ、フィリポ、バルトロマイ、マタイ、トマス、ヤコブ (アルファイの子)、タダイ、シモン、イスカリオテのユダ)がいる。

ギリシア神話には、オリンポス山の山頂に住んでいると伝えられる12神(ゼウス、へラ、アテナ、アポロン、アフロディテ、アレス、アルテミス、デメテル、ヘパイストス、ヘルメス、ヘスティア、ポセイドン)がいる。

十二縁起 (十二因縁)は、仏教が説く苦しみの元となるもので、無明(むみょう)、行(ぎょう)、識(しき)、名色(みょうしき)、六処(ろくしょ)、触(そく)、受(じゅ)、愛(あい)、取(しゅ)、有(う)、生(しょう)、老死(ろうし)をいう。

中国皇帝の礼服に用いられる模様は十二章といわれ、日、月、辰(星座)、山、龍、華虫、宗彝(そうい)、藻(も)、火、粉米、黼(ほ)、黻(ふつ)をいう。

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(
1)イスラエルの12支族から来ているとされている。
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なぜ「12」が多く使われるようになったのか

このように、東西を問わず、世界各地で「12」という数字が使用されている。

実は1年が12ヶ月なのは、暦を知る上での重要な「月」の動きに関連している。月が地球を1年間にほぼ12回転することから来ている。このことは、地球から見ていると、月の満ち欠けが1年間に12回繰り返されることを意味している。

古代の人々は自然を観察する中で、こうした事象を認識し、「12」という数字に自然に特別な意識を持つようになったものと言われている。即ち、古代において、天体の運行を観察する中で、1年を12の月に分けることが行われ、この12がそれ以外の生活のいろいろな場面で使われるようになったと考えられている。

1日が午前、午後それぞれ12時間になっているのは、古代エジプトの時計が日時計であったため、1日を昼と夜の12時間に分けたことからきている。