12と言う数字は実は極めて便利で美しい数字

ところで、12と言う数字は、2や3や4で割れる。2等分、3等分、4等分という考え方は幅広く普及していることから、年月や時間が12と深く関係していることで大変便利な状況になっている。

例えば、1年を2等分すると上半期と下半期という考え方ができ、4等分すると春夏秋冬の四季の考え方が生まれてくる。また、1日は24時間であることから、これを2等分すると午前と午後になり、3等分すると、8時間は睡眠をとって、8時間は働いて、残りの8時間を各自の自由な時間にあてる、という考え方ができることになる。

なお、1時間は60分、1分は60秒というように、ここでは60進法が使用されているが、60という数字は、12の5倍であり、5等分を含めた1から6までの全ての数で割り切れる数値となることから、時計の針等で表すのに分かりやすいものになっている。

図形で表現する場合を考えた場合、正3角形と正方形は、直観的にわかりやく、正確に描きやすいが、正5角形はちょっと難しい。正3角形を2つ組み合わせることで正6角形も描くことができ、正6角形を2つ組み合わせることで正12角形も描くことができる。正12角形は、先にも述べたように、実質的に1つの円の中に存在して、直交する対称軸を有する形になっていることから、各種の表現に便利なものとなる。

1ダースが12本だと、例えばビール瓶を箱詰めするのに、3本×4列等ができるが、10本だと2本×5列のパターンしかなく、縦横のバランスが大きく崩れることになりかねない。

もちろん、こうやって「12」の利点をあげることができるのも、我々が現在の方式に慣れてしまっていて、それを居心地がよいと感じて、後講釈しているだけかもしれない。ただし、昔の人も同じように感じていたとしても不思議は無いだろう。いずれにしても、「12」という数字は我々の生活に深く染み付いているといえる。

最後に

今回は数字の「12」について、その現代生活における広範な使われ方とその理由等について、報告してきた。日常生活において、何となく慣れ親しんでいる世界において、数字の「12」が、いかに深く関わっており、それがどのような意味を有しているのか、あらためて考えてみると、なかなか面白い発見があったのではないかと思われる。

こうした些細なことから、知的探求を進めることに興味を感じていただければと感じた次第である。

中村亮一(なかむら りょういち)
ニッセイ基礎研究所 保険研究部 取締役

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