ご自身で共済を契約したり、ネット生保や通販の生命保険を購入したりする人もいる一方で、やはり商品選択は代理店で相談したいという人もいるかと思います。そこで、総合保険代理店や銀行の窓口で、上手に無料相談を受けるためのポイントなどをご紹介します。大切なのは、望んでいることをこちらから先に相手に伝えて主導権を握ることです。
(本記事は、藤井 泰輔氏の著書『
どんな家庭でも 生命保険は月5000円だけ
』かんき出版(2017年9月1日)の中から一部を抜粋・編集しています)
無料相談で誘導されないためのポイント
1.丸投げはだめ
「生命保険は難しくてさっぱりわかりません!」なんて態度を、絶対に代理店の前でとってはいけません。「わからないので、一から教えてください」と代理店に保険選びを丸投げするのは、身投げ行為と同じようなものです。あくまでみなさんに必要なことだけを相談するという態度で臨めばいいのです。「本当は相談料を払ってもいいんだけど、そちらが無料だと言うからお言葉に甘えて、こちらの知りたいことを相談させてもらいます」という態度がよいかと思います。
2.見積りはこちらから具体的に依頼する
行動経済学の研究によると「人は、経済活動において必ずしも合理的に行動するわけではなく、多分にその判断は感情に左右されやすい」ということです。その1つの例として、人は最初に見せられた数字を判断基準にしてしまうということがあります。つまりこちらから金額を提示せずに、代理店に提案を頼んだとすると、彼らは高額な「松」の提案をしてくるのです。そしてその結果、みなさんはその数字に縛られることになります。それでは逆に、みなさんが金額を提示して、代理店に見積り依頼をしたらどうでしょう。今度は、彼らがその数字に縛られることになります。ですから見積りはこちらから依頼しないと、いろいろな意味で主導権を握れなくなるのです。
まずは「当家に必要な保障額を計算し、すべて掛け捨てでいいので、月5000円の予算で、必要性の高いものから、保険会社は1つの商品につき3社に絞って提案してください」などとこちらから先に依頼しましょう。代理店に依頼する提案は、3社の商品であって3つの商品ではありません。例えば同じ会社のもので「通常のもの」「保険料払込み免除のあるもの」、「一定の障害状態になったときに支払われるもの」では、他社との比較ができません。総合保険代理店なのに、会社の方針で1社の保険しかすすめないところがありますが、そうした代理店は避けたほうがいいでしょう。
また相手の提案に対しては、すすめる保険会社とその商品の推奨理由もしっかりと聞きましょう。そうしたことをしっかりと説明する義務が代理店にはあるのです。保険は契約期間が長くなる商品ですから、信頼できる保険会社と代理店を選ぶ必要があります。
3.遺族年金の計算をしてもらう
「ねんきん定期便」が手元にないとか、仕組みがよくわからないなどという人は、代理店に頼んで遺族年金の額を計算してもらいましょう。
遺族年金の額がわかったら、次は勤め先の会社の退職金や弔慰金などを自分で調べたうえで計算しておきます。また、保障額は配偶者に決めてもらい(母子家庭や父子家庭では子供が独り立ちするまでの必要額を計算して)、そのうえで生命保険の設計を依頼しましょう。
4.保険証券は持っていかない
みなさんがすでに生命保険の契約者だったとしても、保険証券は、本当に信頼できる相手だと確信できない限り見せてはいけません。「保険証券を持ってきてください」と言われたら「どこにあるかわからない」とか、「探しても見つからない」などと答えておきましょう。みなさんが最適な保険選びをするのに、現在どのような生命保険契約をしていようが関係ないからです。一方、販売側からすると、まっさらな何もないところに保険提案をするよりも、現行の保険内容を見つつその問題点を指摘しながら提案するほうが何倍も売り込みやすいのです。
信頼できる代理店を見極める質問法
生命保険の見直しを思い立って相談に足を運ぶのは、現時点で納得のいく保険を契約できていないからでしょう。販売する側は、そんなみなさんが不満に思っている保険契約がわかれば、それをもとに提案できます。そのため最善でなくても改善されてさえいれば、みなさんから一定の満足を得られると考えるのです。そうすると、商品面や保険料面で彼らの都合を押し出しやすくなります。
現行保険の処理は保険内容が最終的に決まった段階で、代理店に相談してください。保険証券がないと言ってあったとしても、後から「保険証券が見つかりました」などと言えば間違いなく対応してくれるでしょう。新しい保険の内容が決まった後だと、現在の保険をどのように処理しようと、彼らの売上には関係なくなるので相談に乗ってくれると思います。その段階であれば、単に解約するという単純な方法ではなく、それまで保険料を支払ってきたことが無駄にならないような「払い済み」や「減額」、あるいは「特約」の解約などの方法を教えてくれるでしょう。
相手が信頼できる相手かを判別するためには、新規の契約でも見直しでも、次のような質問を投げかけ相談相手が信頼できるかどうか見極めましょう。
(質問1) 「ネット生保や共済も検討していますが、それらとそちらが提案してくれるものとの違いはなんですか?」
- 注意すべき代理店の回答「ネット生保や共済には担当者がいません。私どもは、お客さまにずっと寄り添って保険の見直しや実際に保険金をお支払いするときまでサポートいたします」
- 信頼できる代理店の回答「ネット生保や共済のほうがたしかに安いです。潰れる心配はさほどありませんし、万一そうなっても新たに保険を手当てするだけですから、契約の管理がご自身でできるのであれば、比較してご検討になればいいと思います」
(質問2) 「会社に団体保険があるのですが、あれはどうなんでしょうか?」
- 注意すべき代理店の回答 「団体保険は、会社にいる間しか加入できません。もし、会社を辞めたときにはまた新しい保険に加入する必要があります。そうであれば、今のうちにきちんとしたものに加入しておくことをおすすめします」
- 信頼できる代理店の回答 「団体保険は保険料も安く、1年ごとの自動更新で保険金額の見直しも簡単ですからおすすめです。5年ごとに保険料が上がりますが、その都度保険金額も見直せばいいでしょう。もし会社を辞めるようなことがあったら、その時点で必要に応じて保険を買い直せばいいと思います。引受保険会社によっては、健康状態にかかわらず、現行の保険金額の範囲で、一般の商品に切り替えることができますので、その点も確認しておいてはいかがでしょう」
藤井泰輔(ふじい・たいすけ)
株式会社ファイナンシャルアソシエイツ代表取締役。生保協会認定FP、DCプランナー、宅地建物取引士。一橋大学商学部卒業後、三井物産、生命保険会社勤務を経て、2000年に総合保険代理店、株式会社ファイナンシャルアソシエイツを設立。法人、個人ともに、常に買う側の立場に立った保険提案で顧客の信頼を集めている。
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