ものづくりカンパニーとしての魅力
ソーシャルゲーム市場は、非常に浮沈が激しく、アプリとして認可されるにも時間がかかります。かといって、ブラウザゲームばかり作っていては、ユーザーがいちいちネットサーフィンをする面倒さが抜けず、サクサク感が失われてしまいます。
ゲームアプリの97%は無料。つまり、わずか3%のアプリで、メーカーは収益を上げなければなりません。そのためにも97%の「サンプル」からどれだけ3%の課金ゲームにユーザー移行させるか…これは、外部イラストレーター、SE、メーカーデザイナーなどの優れた分業体制が必要です。
ドリコムでは、他社同様、イラストレータースタジオと提携し、バンダイナムコなどの競合他社とタッグを組んだり、他業種とのコラボレーションを積極的に行っています。癒し系アプリ「ちょこっとファーム」には、環境育成というエコの思考を取り入れています。ユーザーがアプリをどう生かすかという視点での「ものづくりアプリ」を生み出しているのです。
潜在力と経営力を診断する
潜在力をクリエイティブの面から見た場合、アプリの開発力は特に優秀とはいえません。ですが、アプリ審査を通りやすい万人向けのソーシャルゲームでの善戦、またネイティブで作り込む(特殊なアプリ開発言語で製作する)技術者と従来のブラウザエンジニアのバランスの高さはよいといえます。
ネイティブエンジニアが多いことは、今後の開発に有利といえます。また、サーバーエンジニアのクオリティも高く、潜在能力は高いです。経営面では、人気アニメの手数料差損を強行するなど、攻めの姿勢が評価されています。短期的高収益部門と持続型の収益部門の2本建てがパターン化できれば、株価への期待度は高まるでしょう。
カンパニーとしての継続性はどのくらいか
ソーシャルゲームメーカーの経営は、アプリのダウンロード数で収益が確定できます。そして、継続的に利用されなければ、経営の持続性は絶たれていきます。そして、国内だけでなく全世界で利用されることで、マーケットの拡大も約束されます。
中国やアメリカ、欧州といった海外拠点をどう生かしているのか、どの地域でどのようなアプリが人気なのかを分析できるかどうか、これがカンパニーの継続性を高めることになるでしょう。それには、分かりやすいキャラクターであり、分かりやすいストーリーであり、達成感が味わえるものでなければ、課金・ポイントへとつながっていきません。
ドリコムのRPGによる株価上昇は今後も継続できるでしょうか?もし、それが可能となるならば、条件は他業種とのコラボレーションに限られて来るでしょう。たとえば、化粧品、自動車、ファッション、医薬品…といった他業種の商品名やサービス名を取込んだアプリが出来るならば、マーケットの信頼を得ることができるでしょう。ソフトバンク、楽天やDeNAといった企業がプロ野球チームの経営に乗り出したように、実在型のコンテンツをカンパニーに取込むことで、より大きな成功が見えて来るでしょう。
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Keng Susumpow
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