中国で「2018年中国農産品電商発展報告」が発表された。2017年における農産品電商(ネット通販)の分析や、2018年の発展の新しい情勢について触れている。どうも日本とはかなり状況が違う。中国の農産品の流通はどこへ向かうのだろうか。ニュースサイト「捜狐」が伝えた(1元=16.56日本円)。

好循環の食品業界

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(画像=PIXTA)

発表したのは中国農産品電商聯盟、北京工商大学商業経済研究所、沁坤農産品商城だ。

種苗、養殖、加工、販売、仕入れ、最近の中国農業は、どこを取っても好調だ。正のスパイラルで順調に回転している。その一方で転換点を迎えているのも確かである。それは農産品のオンライン物流網が形成されつつあることによる。

2017年、中国の主要農産品生産は、過去最高を記録した。総量は21億1828万2500トンに達し、取引は拡大基調を続けている。また各種農産品の電子取引市場は1969カ所に達した。そして全国の基本農産品(加工食品原料など)のオンライン取引額は、10兆元を超えたと見られている。消費者向けでは、生鮮食品のネット売上が毎年50%のペースで伸び、1391億3000万元に達している。さらに食材のネット取引は8000億元を、フードデリバリーサービスは2000億元を超えた。

ネット通販“生態圏”を形成

ネット通販業者に最も還元される生鮮品とは、果物、海鮮、生肉である。また特産品の売上も大きく伸びている。たとえば広西チワン族自治区の百香果(パッションフルーツ)だ。ブランド農産品の販促効果は大きい。新鮮さや天然もの、栄養価などとならぶセールスポイントである。これらは越境Eコマースでも伸びていることから明らかだ。

一方、農産品ネット通販のシステムには、日々改善が加わっている。農産品ネット通販の発達は、農村において独自の“生態圏”とそのチェーン化を促している。すでに、インターネット、コンピューターにビッグデータ技術を備えた“農村ネット通販ステーション”も実現に近付いている。このプラットフォームの“生態圏”には、生産計画から収穫までのコントロールも含まれる。

そしてさらなる農産品ネット通販の発展には、単に売るだけではなく、サービスと体験を付加することが必要となっている。

O2O融合の新型店が寄与

2017年は、アリババ系「盒馬鮮生」や京東系「7FRESH」などのO20融合のスマートスーパーの出店が花盛りであった。

盒馬鮮生では、スーパー(宅配)+飲食体験+倉庫、の一体化運営を展開している。望まれた付加価値を実現しているのだ。2017年までは26店舗だったが、今年は北京だけで30店舗を出店し、二線級、三線級都市へも出店範囲を拡げていく。その他、蘇寧系の「蘇鮮生」テンセント系「毎日優鮮体験店」なども似たようなコンセプトの店を出店している。

もう一つ「中菜聯盟」の動きにも注目だ。中菜聯盟(China Vegetable Union)は、2016年9月に資本金5000万元で設立された株式会社である。最も専門的な農産品直売サービスプラットフォームを目指している。IT企業側からではなく、伝統的な市場関係者側からの、改革志向の動きであろう。2017年8月、北京に「裕龍智慧市場体験店」を出店した。2018年は、100店を出店し、北京中をスマートスーパーで覆う計画という。盒馬鮮生との対決が見ものである。

順調に進展

報告によると、2018年の農産品市場とネット通販は、新しい発展段階を迎えるという。そのためのポイントとして、以下5点を挙げている。

1 政府による出店促進と、監督強化の“二重政策”
2 生鮮ネット通販をさらに一歩進める議論の活発化。
3 生鮮ネット通販生態圏の拡大。
4 単一アイテムの販売から、サービスと体験の“多重モデル”へ。
5 生鮮ネット通販モデルの多様化。

これらは、O20融合モデルの出店を通じて、すでに進展している。活気あふれる対面販売式の伝統市場で、価格交渉しながら買うという従来のスタイルは、急速に思い出の情景となっていくのだろう。

このように中国は、小売業の原点である生鮮の流通革新に、莫大な投資を行っている。ここで2002年、ファーストリテイリング <9983> が野菜のO20融合モデル販売に乗り出し、1年半で失敗したことを思い出す。しかし現在ならどうだろうか。とにかく食品廃棄の多い日本は、革新者を必要としている。どこからでもいい。ぜひ表れて欲しいものである。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)