アリババ, 小売
(画像=PIXTA)

目次

  1. はじめに
  2. 新零售の展開を加速させるアリババ
  3. 新業態「盒馬鮮生」の発展
  4. スターバックス(中国)と提携
  5. 新開発機器の登場
  6. 出資企業との取組み

はじめに

中国の小売業界では、盛んに「新零售」という言葉が掲げられている。これは、2016年10月のアリババ開発者大会において、アリババ創業者の馬雲会長が言いだした言葉で、日本語に直せば「新小売業」という意味になる。

その意味するところは、インターネット通販の店舗と実店舗の融合(online to offline)の推進であり、ビッグデータやAIなどを活用した小売革命である。 実際に中国では、顧客のデータを分析した結果を商品配置などに反映するスーパーなどが次々と誕生している。そんな、中国の「新零售」の最前線で何が起きているのかを報告する。

新零售の展開を加速させるアリババ

新零售を主導しているのは、当然のことながら、ネット通販業界首位のアリババ。そして、2位の京東(JD)が追っている。

中でも2018年に入って以降、アリババの動きが加速した。まずは、ニュースサイト「今日頭条」の記事をもとに、アリババの動きを追ってみよう。

新業態「盒馬鮮生」の発展

アリババは2016年4月、O2O(online to offline)融合の新業態店「盒馬鮮生」を上海・浦東に開店した。一見すると普通の食品スーパーである。普通に来店し、購入することもできる。ただし支払いは、アリババのオンライン決済「アリペイ(支付宝)」に限る。そして、最大のセールスポイントは、スマホ1台で完結する、3キロ圏内への30分配送である。

2018年9月、アリババが開発者大会で発表したデータによると、店舗数は14都市64店舗までに拡大。開店後1年半以上を経た7店舗をみると、1日当たりの平均売上高は、80万元を超えている。これは同規模(4000平米)食品スーパーの2~3倍である。オンライン売上は60%以上で、アプリ会員は順調に増加している。会員のストアロイヤリティは高く、月平均消費額は575元だった。

現在展開中の64店舗の顧客数は、総計1000万人である。計画では2021年に顧客数3億人と30倍にすることを目標としている。 アリババの調査によると、欧米先進国では、生鮮食品の30~50%はスーパーなど「小売企業」が販売している。中国ではこれがまだ5%に過ぎず、まだ小さな個人商店などが多い。したがって市場空間は十分にあるという認識だ。

スターバックス(中国)と提携