米国Amazon.com(アマゾン)が4月下旬に発表した2018年の第1四半期決算は、衝撃的だった。売上高は510億4200万ドルで前年比43%も伸び、市場予想を大きく上回った。北米のネット通販は46.4%、北米以外のネット通販は34.5%と本業をしっかり伸ばしている。

一方中国では、ネット通販首位のアリババのB2Cプラットフォーム「天猫」の第1四半期データが発表された。こちらのGMV(Gross Merchandise Volume/一定期間の成約額)もまた45.7%伸びている。ニュースサイト「今日頭条」が伝えた。40%台の伸長率など実体店舗では夢のまた夢である。ネット通販は世界中で勢力を増す一方のようだ。その内情を、このデータを基に探ってみよう。

アリババの牙城揺るがず

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(画像=feelphoto / shutterstock.com アリババのジャック・マー会長)

アリババ系ビッグデータサービスの「雲観数据智能査詢平台」は、天猫の第1四半期のGMVは、5590億元(881億ドル)前年比45.7%の高い伸びだったと発表した。

2018年第1四半期のネット通販業界は、熱気に包まれていた。拼多多(共同購入サイト)の躍進や、抖音(ミュージックビデオ)のネット通販連携など、話題には事欠かなかった。新しい通販サイトの登場も途切れることはなかった。

そうした厳しい状況下にありながら、首位アリババの牙城は揺らいでいない。これで天猫は4四半期連続で、GMV40%以上の伸びを記録した。これは容易なこととは思われない。アリババの主導するO2O融合を目指す新零售(新小売業)への取組みが、功を奏しているのは疑いないところだ。

アリババが描く「新零售」とは 2つの課題、3つの取り組み

アリババの描く新零售とは、比較的簡明なものだ。消費者は、何らかのオフライン体験から商品を選ぶ。それをオンラインで注文してもらう。倉庫でピックアップして配送という3つのプロセスだ。しかしここには2つの課題がある。

(1) ビッグデータ、在庫、店舗、配送など、相対的に複雑な要素を包含していること。
(2) 市場の教育。いかにオンライン発注へと導くか。

これらの解決は今も難題だが、現時点ではアリババが絶対的なリーダーなのは間違いない。提案、優待、金融サービス、ファッション情報などを迅速に提案し、オンライン購入へと導いている。これらの技術的アドバンテージが、消費者だけでなく、有力ファッションブランドなど、業者の天猫への出店を促している。

また新零售に関する広報、宣伝活動はすさまじい。主に次の3つがある。

(1) 自ら新業態を開発……盒馬鮮生、猫茂など
(2) パパママストアの取込み……天猫小店など
(3) 既存小売業との提携……聯華超市、大潤発、居然之家、餓了麼など、

伝えられるたびにアリババはまた何かやる、という驚きと期待を巻き起こし、宣伝効果は抜群だ。その都度新規のネット通販ユーザーを吸引しているのは間違いない。また若者世代を圧倒的に引き付ける。

iPhoneは97%、メンズ衣料は80%の伸び

業種別に伸び率を見ていこう

衣料品では、メンズ衣料は81.3%、レディース衣料は51.8%、子供衣料は67.7%、また婦人肌着は55.9%など“爆発的”に伸びている。

大型家電は、前年同期比68.6%伸びた。スマートスピーカー(自社の「天猫精霊」)などAI関連製品は57%、また調理家電は22.6%の伸びだった。

化粧品では、スキンケア関連は76.2%、メークアップや香水関連は57.6%の伸び。

食品では、アルコール関連53.9%、コーヒー、お茶など淹れものは52.3%、保健食品42.0%、種美(ナッツ)類22%の伸び。

靴・服飾では、メンズシューズ48.3%、レディースシューズ43.2%、スポーツシューズ44.8%、バッグ13.2%の伸びだった。

ベビー・マタニティーでは、子供シューズ29.1%、おむつ32.9%、マタニティーウエア24.7&の伸びだった。

家庭用品では、食器類27.4%、調理器具31.8%、日用品44.2%の伸びだった。

スマートフォンでは、アップルが97%と激増した。他のブランドはいずれもマイナスで、全体では22.3%の伸びだった。

大型家電は、ネット通販2位の「京東/JD」3位で家電量販店の出自を持つ「蘇寧易購」のもっとも得意とする部門である。そこを伸ばしたことは、大きな意味がある。またアイフォーンの取扱いを増やしたことも特筆ものだ。地方都市のユーザーに支持されたものと見られる。

メンズファッションなど服装や靴服飾では、もともと京東以下を圧倒していた。こちらは得意部門をさらに固めた格好である。

米中とも、ネット通販の巨大な影響力を認識させられた2018年の始まりとなった。今年もニュースの途切れることはなさそうである。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)