デメリット3 確定申告の手間がかかる

ふるさと納税のデメリットとしてもうひとつ挙げられるのが「手間がかかる」ということだ。通常、給与所得者は勤め先での年末調整を行えば確定申告を行う必要がない。

しかし、ふるさと納税で所得税と住民税の控除を受けるには、確定申告を行う必要がある。確定申告は深刻時期が限られているため、かなり混雑する。さらに基本的には平日の午前8時半から午後5時までに限られており、平日に仕事をしている人にはかなりの負担となるだろう。

2月の第3、第4日曜日のみ申告の相談や申告書の提出ができる会場もあるが、この2日間には人が集中するためかなりの混雑を覚悟しなくてはならない。そもそも確定申告を行わなければならない自営業者や年収2000万円以上の人はいいが、給与所得者にとって確定申告の手間はかなりのデメリットといえる。

デメリット4 ワンストップ特例制度も手間はかかる

デメリット3で挙げた確定申告については、負担を大きく軽減してくれる制度が導入された。それがふるさと納税ワンストップ特例制度だ。2017年4月から導入されたこの制度を利用すれば、確定申告は不要になる。あらかじめふるさと納税を行う際に申請をしておけば、確定申告をしなくても翌年の住民税から控除を受けられる仕組みだ。

ただしワンストップ特例制度を利用したら手間がまったくかからないかというと、そうではない。ワンストップ特例制度を利用するには、「寄附金税額控除に係わる申告特例申請書」を寄付した自治体ごとに記入し、本人確認書類を添付して郵送しなくてはならない。ワンストップ特例制度を適用されるには、ふるさと納税を行う自治体の数を5団体以内にする必要があるが、5ヵ所分の書類を記入し郵送するのはやはりそれなりに負担となるだろう。

またワンストップ特例制度の申請書類はふるさと納税を行った翌年の1月10日必着だ。5ヵ所にふるさと納税を行ったが、1カ所だけ書類が届かなかったり不備があったりした場合、その自治体に寄付した金額は控除を受けられない。確定申告を行えばリカバーできるが、その場合は5ヵ所すべての寄付について申告をしなくてはならない。制度についてきちんと理解しておかなくては控除を受けられないので注意が必要だ。

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デメリット5 所得によっては控除されない

ふるさと納税では、寄付したお金が返ってくるわけではなく、支払うべき税金が減額されるということ。つまり支払うべき税金額が寄付した額よりも少なければ損をしてしまうということなのだ。

控除される額にも上限がある。上限額は収入に応じて変わってしまう。自分の上限額は前年の所得を参考に予想することができるが、前年よりも所得が下がった場合は上限額が変わってしまうというのもふるさと納税のデメリットだ。本当の上限額が分かるのはその年の12月31日だが、ふるさと納税はそれまでに寄付をしておかなくてはならないため、上限額にゆとりを持っておかないと損をすることとなる。

上限額がわかりにくいというのもデメリットだろう。上限額は単に年収だけでは分からない。収入の種類、扶養の人数、保険料や医療費の支払い額によって変わってしまう。おおまかな例は紹介されているが、実際に自分の上限額を知ろうとすると、シミュレーターで試算したほうがいいだろう。

上限額を超えた額は控除を受けることはできないため、どうしても限度額以内に収めたいという場合は試算で出た限度額から20%ほど抑えた額に寄付金額の合計を収めるようにするとよいだろう。

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ふるさと納税のデメリットも把握して寄付をしよう

ふるさと納税はそのお得さだけが喧伝されがちだが、もちろんデメリットもある。ふるさと納税で損をしないためには、あらかじめこれらのデメリットを頭に入れてから検討することが大切だ。

特に確定申告やワンストップ特例制度を利用するための書類の準備などは時間がかかり、大きな負担ではある。ただし、ふるさと納税はそもそも地域の振興のために生まれた制度だ。その理念をきちんと理解した上で、上手に制度を活用していきたい。(ZUU online編集部)

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