ふるさと納税には「ワンストップ特例」という仕組みがある。これを申請することで、確定申告を免除できるシステムだ。既に2017年分のふるさと納税については、ワンストップ特例を申請できる期限が過ぎてしまったが、これは今年から来年にかけてもあるはずだ。ふるさと納税には申し込んだものの、ワンストップ特例制度を使わなかった人が確認しておくべきことを見ていこう。

「ワンストップ特例」とは 確定申告が不要になる

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(画像=PIXTA)

ワンストップ特例は、例年2月16日から3月15日に行われる確定申告をしなくても寄付金控除を受け取れるシステム。特定の申請にはいくつかの条件をクリアする必要があるが、申し込みするだけで簡単に控除を受けられる便利な仕組みといえるだろう。

特例を利用する場合、確定申告による所得税の控除は実施されず、ふるさと納税を行った翌年の6月(2017年の場合、2018年6月)の住民税が減額される。申請書についても、納税先の自治体によって異なるので、注意が必要である。

また特例を申請しても引っ越した場合は、ふるさと納税をした翌年の1月10日(2017年の場合、2018年1月10日)に納税した市町村に「変更届出書」を提出する必要がある。

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利用するには条件がある

しかし、すべての納税者が確定申告を不要にできる訳ではない。確定申告の対象ではない給与所得者が対象。自営業・フリーランスといった個人事業主は確定申告の義務はない(基礎控除:38万円よりも所得が低い個人事業主は確定申告の義務なし)。

そのため、企業から給料を支給されているサラリーマンやOL、契約社員、派遣社員、アルバイト・パート(社会保険加入者)は特例を利用できる。対して自営業者やフリーランス等の自分のスキルやお店を営んでいるフリーランス・個人事業主は申請できない。

またワンストップ特例には、利用するために条件をクリアする必要がある。主な条件は以下のとおりだ。

  • 納税している自治体が5つ以内であること
  • ふるさと納税の申込をしたときに特例に関する申請書を納付すること

そのため次のAさんのような場合、通常の確定申告を行う必要がある。

例えば、会社員をしているAさんは、企業勤めの給与所得者なのでワンストップ特例を受ける権利がある。この場合、ふるさと納税の申請時に「特例申請書」を記入して納税先に提出すれば、確定申告の必要がない。しかし、Aさんは納税している自治体が10団体(6以上)であれば、特例の条件である「納税先が5つ以内の自治体」を超えているので、サラリーマンでも確定申告の義務が発生することになる。

こう考えると、ワンストップ特例の利用は、ふるさと納税(寄附)の回数が少ない人に向いているといえそうだ。

条件の「5つ以内」は自治体の数。このため、1自治体に複数回寄附をしても「1」とカウントされる点はおさえておこう。

ただし企業による年末調整をしている会社員でも、ワンストップ特例を申請できないケースもある。分からない点があれば、所管の税務署または税理士へ相談するといいだろう。

「ワンストップ特例」に提出する書類は何か

ワンストップ特例を利用するには、必要な書類を提出しなければいけない。

まず、寄付金税額控除にかかる申請特例申請書を記入する。この特例申請書に書くのは以下の内容だ。

  • 申請する日付
  • 住所(注1:申請書の最後にも)
  • 名前(注1と同じ)
  • マイナンバー番号(個人番号カードやマイナンバーカードに記載)
  • 性別
  • 生年月日
  • 電話番号
  • 納税先に寄付する金額
  • 「申告特殊対象寄附者」にチェックをつける
  • 地方税法附則第7条に該当する者にチェックをつける

なおワンストップ特例制度の申請用紙を郵送してくれるかどうかは、自治体によって異なるようだ。手元に申請用紙がない場合は、インターネット上でも入手できるので探してみるとよいだろう。

すべての項目を記入したら、納税先である地方公共団体に「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を翌年の1月10日までに申請(2017年にふるさと納税した場合、2018年1月10日まで)

申請書に書いた内容が変わる場合は、「寄附金税額控除による申告特例申請事項変更書」の書類が必須となる。

本人確認書類とは?

申請書に個人情報を記入したら、次は本人確認書類を準備する。「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」の記入が完了したら、納税者とわかる証明書の準備するのだ。

申請できる書類は以下のとおりだ。

「個人番号カード(マイナンバーカード)」を持っている場合

  • 個人番号カードの表・裏にあるコピー

「通知カード」を持っている場合
(以下の本人確認書類も提出)

  • 運転免許証
  • 運転経歴証明書
  • パスポート
  • 身体障害者手帳
  • 精神障害者保健福祉手帳
  • 養育手帳(よういくてちょう)
  • 在留カード
  • 特別永住者証明書

本人確認書類については、写真・名前・生年月日といった個人情報が記載されている部分をコピーする。

個人番号カード・通知カードがない場合

  • 個人番号(マイナンバー)が記載されている住民票(最寄りの市役所・出張所で申請)
  • 通知カードを持っている人と同じ本人確認書類も必須。

これらの書類を用意できない場合は、以下の書類を代わりに申請することになる。  

  • 健康保険証
  • 年金手帳
  • 児童扶養手当証書   必ず2つ以上の資料をコピーして、添付台帳(本人確認書類をのりづけする用紙)に貼りつける。

「ワンストップ特例」が間に合わない人は

ワンストップ特例に間に合わない場合は、2月中旬から3月中旬まで行われる確定申告を行う必要がある。しかし、給与所得者でも、日ごろから株式・FX(外国為替証拠金取引)やアルバイトやオークションでの転売といった副業をしているならともかく、ほとんどの給与所得者は確定申告についての詳しい知識はないかもしれない。

しかし確定申告は自身の納税額などをあらためて見直すいい機会となる。「確定申告なんて分からない(分からなくていい)」と思っている人も、この際、詳細を確認しておいてはいかがだろうか。

基本的には、以下の書類を準備すれば問題ないだろう。

【準備する書類】

  • 源泉徴収票(企業から発行される所得が記入された書類)
  • ふるさと納税の「寄付金受領証明書」(納税先の自治体から郵送される証明書。返礼品(お礼の品)や個別に郵送されるケースがある)
  • 確定申告書(国税庁のWebサイトからダウンロード可能。最寄りの税務署でも発行)
  • 銀行口座・通帳 国税庁から還付金(払いすぎた税金)を支払うための銀行口座が必要。
  • 印鑑(本人)

源泉徴収票は、企業で年末調整を行う12月末に所属している会社が作成する。企業によるが、給料明細と一緒に手渡される場合もあるという。分からない場合は総務課、給与担当者に確認してみるといいだろう。

<関連記事>「ふるさと納税」よくある9つの誤解 納税分は年末調整される?

寄付をした市町村に相談

ワンストップ特例に間に合わない納税者は、寄付した市町村に「寄付金受領証明書を発行してほしい」と依頼しなければいけない。

確定申告の期限である3月15日まで自治体からの書類を待っていても、発送される確率は低い。自発的に動かなければ、確定申告の期限も遅れてしまい「還付金」が戻ってくることはない。

「面倒くさいから」と申請しないでいると、税金を控除(節税)ができないことになる。所得が高いままの状態で所得税額が算定されることになるので、本来であれば納めなくてもよい税金を支払うことになってしまう。

また、証明書を依頼する場所は、各自治体にふるさと納税を所管している部署があるので、そちらの電話番号やメールアドレスをチェックして連絡をしなければならない。

なお、市町村によっては対応に時間のかかる場合もある。確定申告に間に合わせる場合は、自治体への電話による「寄付金受領証明書」を発行してほしい旨を伝えるといいようだ。

分からなければ税務署・税理士に質問する

自治体への相談をする場合は、所在地の税務署や税理士へ「ワンストップ特例」について相談も有効だ。税務署であれば、確定申告が近づく2月頃から「税務に関するセミナー」を開催しているので、Webサイトなどを確認するといいだろう。

各市町村により異なるが、講座が開催される日に来場すれば委託されている税理士からの説明が受けられるようだ。

不明な点があれば、講師である税理士に質疑応答も可能。たとえば千葉県柏市の場合は、1つのセミナーが約2時間で終わるという。所要時間なども考えて、都合があうなら参加してみるといいのではないだろうか。

税理士に質問する方法がある。税理士事務所の中には、無料相談会を開催しているところもあるようだ。

2月中旬からの「確定申告」をする

納税先の自治体への「寄付金受領証明書」の発行や税務署や税理士への相談をした納税者は、2月中旬から3月下旬まで行われる確定申告を行う。

申請するときの内容は、上記の見出しである「ワンストップ特例」が間に合わない人は」で参照してください。この章では、書類を提出する方法をご紹介。

確定申告では、主に3つの方法で納付する。

  • 電子納税(e-tax)
  • 郵送(税務署宛)
  • 税務署へ直接提出する

電子納税とは、インターネットで確定申告ができる便利な仕組みだ。その際に準備するものは以下のとおりだ。  

  • パソコン
  • ICカードリーダー
  • マイナンバーカード

延滞税や加算税といった追徴課税(ついちょうかぜい)についても対応している。所得税・法人税・地方法人税・地方消費税・復興特別所得税・復興特別法人税と いった6つの税金だけが申告できる。

ワンストップ特例も確定申告もしたらどうなる?

なおワンストップ特例申請書を提出した後、確定申告もした場合はどうなるのだろうか。この場合、確定申告書の内容が優先されることになるという。

「ワンストップ特例」を学べるサイト

ここまで説明してきた「ワンストップ特例」制度の詳細については、国税庁・地方自治体・ふるさと納税をサポートする企業のWebサイトから詳細を確認できる。ワンストップ特例を理解して、正しい確定申告と特例申請書の手続きを目指したい。

総務省「ふるさと納税ポータルサイト」

まず総務省が提供しているのが「ふるさと納税ポータルサイト」である。トップページに「ふるさと納税で日本を元気に」といったキャッチフレーズと漁船などの写真が掲載。ふるさと納税やワンストップ特例がわからない方に向けたページを設けており、ふるさと納税やシステムを分かる。

総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」では、「ワンストップ特例」の存在と5つの団体に寄付している方を対象にしていると注意点も伝えている。

【参考】総務省「ふるさと納税ポータルサイト」ワンストップ特例

国税庁「ふるさと納税ワンストップ特例」

総務省と同じく国税庁でも「ふるさと納税ワンストップ特例」とよばれる法律についての定義が記載されている。

ワンストップ特例は、「平成27年4月1日以降」にふるさと納税ワンストップ特例を利用される人と対象者についての定義も定めている。

【参考】国税庁「ふるさと納税ワンストップ特例」

ふるさとチョイス、さとふるなどの民間サイト

ふるさと納税制度を設けている自治体や返礼品を紹介している各種サイトでも、ワンストップ特例については解説している。

ふるなび、ふるさとチョイス、さとふるなどのサイトや、Yahoo!ふるさと納税や楽天ふるさと納税といったポータルサイトが提供しているWebサイトも参考になるだろう。「ふるさと納税」情報満載のWebサイト7選なども読んで、Web上の情報をフル活用してほしい。(ZUU online編集部)