(本記事は、頼藤太希氏の著書『投資信託 勝ちたいならこの7本!』河出書房新社、2018年6月20日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

投資信託 勝ちたいならこの7本!
(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

【『投資信託 勝ちたいならこの7本!』シリーズ】
(1)ボーナスの100万円「一度に投資」と「毎月1万円投資」ではどっちがトク?
(2)人気ランキングで上位にある投資信託を買うのは得?
(3)分配金で失敗しない「投信選び」3つのポイント
(4)踏んだら資産が減る「地雷ファンド」はこれだ
(5)投資信託の買い方どっち?銘柄にこだわるか、タイミングにこだわるか

金融機関の窓口ですすめられる投資信託って得?

投資信託 勝ちたいならこの7本
(画像=Freedomz/Shutterstock.com)

・高い手数料、ノルマ達成のための「推奨商品」

政府は「貯蓄から投資へ」の旗を振り続けています。

とはいっても、日本では長らく銀行預金が最善の預け先で、コツコツ貯めることこそが美徳とされてきた感があります。そのため、これまで投資をしたことがない人は、どうすればいいのかわからず、誰かに相談したくなるかもしれません。

そんなとき、身近にある金融機関で話を聞いてくる......といったシチュエーションは、容易に考えられます。

しかし、結論からいうと、そうした相談には行ってはいけません。なぜなら、必ずしもよいとはいえない投資信託をすすめられるからです。

この話の続きを想像してみましょう。

金融機関に足を運ぶと、営業マンが親身に話を聞いてくれます。もちろん無料です。

「お金って、預けているだけではなかなか増えていかないですよね」
「老後の生活費など、これから先のお金のことって、何かと不安ですよね」
「この際、もっと期待できる商品で運用することを考えてみてはいかがですか」

そんなことをいいながら、営業マンは投資信託のカタログを広げ、

「いま、皆さまにおすすめしているのは、こちらの投資信託です!」

そのカタログに記載されている投資信託は、いっけん私たちの悩みを解決するために用意された、バラ色の金融商品に見える、かもしれません。

親切で誠実そうなプロが多くの客にすすめている投資信託なのだから信頼できそう、かもしれません。

しかし、残念ながら現実はそう甘くはありません。前章でも触れましたが、営業マンはその金融機関の社員です。つまり、手数料が高い投資信託や、ノルマを達成するための投資信託など、自分たちに利益が大きいものを優先的にすすめてくるのです。

それを買ってしまえば、彼らの思うつぼだというわけです。

「iDeCo」や「つみたてNISA」といった、顧客に有利な税制優遇制度が発表されたとき、金融機関からは「正直いって、利益が少ないから売りたくない」「積極的には販促活動をしない」という声も漏れ聞こえていました。

顧客の資産のことなど、何とも思っていない......は言いすぎかもしれませんが、結局のところ、自分たちの利益になるかどうかがいちばん大切なのです。

金融機関も営利企業ですから、そういう姿勢になってしまうのは仕方ないことかもしれません。

しかし、それならばこちらも、金融機関を過度に頼ることなく、ある程度の距離をおいて付き合うべきだと思います。

人気ランキングで上位にある投資信託を買うのは得?

・ランキングは、金融機関が儲かる商品の一覧

金融機関の「おすすめ」は、あくまで「自分たちの利益を増やすため」という意味であることは、ご理解いただけたと思います。この”おすすめ”の意向は、金融機関などによくある「人気投資信託ランキング」にも反映されています。

ある銀行に行ったとき、壁に貼り出されている人気ランキングを見て、目を疑いました。そこには、おおよそ人にはすすめられない毎月分配型やテーマ型、ファンドラップといった商品が並んでいたからです。

これらがどうしてよくないのかは後述しますが、いずれも手数料が高く、利益の出しにくいものばかりです。

つまり、この人気ランキングは投資家の人気を反映したものではなく、金融機関側が売りたい商品の一覧になっていると思われるのです。

そもそも、リスクをどのくらいとれるのかは、人によって違うはずです。それなのに、人気ランキングというものが大きく貼り出されるのも不思議です。

そこにはやはり、「人気があるなら大丈夫(買いたい)」という気にさせようとする意図を感じます。

もちろん、内容がよくて多数の投資家から支持される投資信託もあります。しかし、そうした投資信託は、まず金融機関の窓口にはないと心得ておくべきでしょう。

「販売手数料あり」と「ノーロード」の投資信託、得なのはどっち?

・運用スタート時点で、いきなり3%の損失

投資信託を買うときにかかる手数料が販売手数料です。販売手数料は、投資信託の購入金額に対して最大で3%程度かかります。

具体的な金額ではなくパーセンテージで書かれていますので、3%と聞いても、べつにたいしたことはないと感じるかもしれません。

ですが例えば、販売手数料が3%の投資信託を100万円ぶん買った瞬間に、3万円が引かれると知ったら、きっと誰もが驚くのではないでしょうか。

実際、100万円単位で投資信託を買う人はそういないとは思いますが、こう考えると3%の重みが感じられると思います。

ノーロードの投資信託は、この販売手数料が「無料になっている投資信託」です。100万円分購入してももちろん0円ですので、販売手数料3%の投資信託よりもずっと得です。

ノーロードの投資信託は、その後の運用面でもわずかですが有利になる場合があります。

投資信託の販売手数料を内枠、つまり購入金額の中から支払う投資信託の場合、3%の販売手数料を支払うと、購入できる投資信託は97万円ぶんになってしまいます。

いっぽうのノーロードの投資信託では、100万円ぶんきっちり購入することができます(なお、販売手数料を購入金額とは別に支払う、外枠形式の投資信託もあります)。

もし、これらの投資信託がともに5%値上がりしたら、販売手数料3%の投資信託で値上がりした金額は4万8500円となるのに対し、ノーロードの投資信託で値上がりした金額は5万円になるのです。

ノーロードの投資信託のほうが元本部分を多くできる、というわけです。

販売手数料は、金融機関ごとに設定できます。そのため、同じ投資信託でも販売手数料が安い(ない)金融機関と高い金融機関があります。

こういった場合は当然、販売手数料がない投資信託のほうが得になります。できるだけ安く買えるところを探すべきでしょう。

このように見てみると、ノーロードの投資信託が有利なのは間違いありません。

しかし、だからといって安易に飛びつくのは危険です。2点ほど、注意していただきたい点があります。

1つは、信託報酬が割高ではないかということです。

販売手数料は1回きりですが、信託報酬は保有中ずっとかかります。投資信託を長く持ち続けるほど、販売手数料の割合は減っていきますが、信託報酬の割合は増えていくことになります。

目先の無料につられて、長期で持つと損になる投資信託を買っていないか、確認してみましょう。

もう1つは、ノーロードだからといって、運用成績が必ずよいとは限らないことです。

いくら販売手数料が安くても、お金が減るような投資信託では、どうしようもありません。過去の実績や純資産総額の推移も、合わせて見るようにしましょう。

頼藤太希(よりふじ・たいき)
慶應義塾大学経済学部卒業後、アメリカンファミリー生命保険会社(アフラック)で資産運用リスク管理業務に従事。2015年、(株)Money&Youを創業し、代表取締役社長に就任。女性向けWEBメディア『FP CafeR』や『Mocha(モカ)』を運営。『税金を減らしてお金持ちになるすごい!方法』(河出書房新社)、『人生100年時代!月5000円から始める50代からのお金の増やし方』(宝島社)、『税制優遇のおいしいいただき方』(きんざい)、『つみたてNISAでお金は勝手に増えていく!』(スタンダーズ)ほか著作・共著・監修書多数。日本証券アナリスト協会検定会員、ファイナンシャルプランナー(AFP)、日本アクチュアリー会研究会員、金融工学コースシグマ検定1級。