(本記事は、頼藤太希氏の著書『投資信託 勝ちたいならこの7本!』河出書房新社、2018年6月20日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
【『投資信託 勝ちたいならこの7本!』シリーズ】
(1)ボーナスの100万円「一度に投資」と「毎月1万円投資」ではどっちがトク？
(2)人気ランキングで上位にある投資信託を買うのは得?
(3)分配金で失敗しない「投信選び」3つのポイント
(4)踏んだら資産が減る「地雷ファンド」はこれだ
(5)投資信託の買い方どっち?銘柄にこだわるか、タイミングにこだわるか
ボーナスの100万円、「一度に投資」と「毎月1万円投資」ではどっちが得?
・当たり外れの大きい一括投資、安定的な積立投資
ボーナスに限らずですが、まとまった額のお金が手に入ったら(貯まったら)投資しよう、と考える方がいるかもしれません。 その際、そのお金を一括投資するべきか、それとも積立投資するべきか、というのが問題です。
一括投資は文字どおり、金融商品を一度にまとめて買う方法です。スポット購入ともいいます。一括投資の場合、投資した商品の価格が買ったときよりも値上がりしてから売ると利益が生まれます。
逆に、買ったときよりも値下がりしてから売ると損失を被ることになります。
それに対して積立投資は、商品の価格が値上がりしようと値下がりしようと「毎月1万円」という具合に、一定の間隔で、一定金額ずつ商品を買う方法です。
こうすると、商品の価格が安いときにはたくさん買い、逆に高いときには少ししか買わなくなるので、商品の平均購入価格を下げることができます。
これを「ドルコスト平均法」といいます。
積立投資の場合、投資した商品を売るときの価格と平均購入価格の差額が、利益になったり損失になったりします。
一括投資と積立投資、どっちが得になるかは、投資した商品がどんな値動きをしたかによって変わってきます。
一括投資が得になるのは、商品が一方的に値上がりしたときです。
例えば、1万円の商品を100万円ぶん買ったとします。そのあとで、商品の価格が倍の2万円になったときに売れば、利益は100万円になります(以下、手数料や税金は考慮しません)。逆に、商品の価格が5000円になってしまったら、50万円の損失が生まれます。
これに対し、積立投資が得になるのは、商品の価格が上下を繰り返すときです。
例えば、商品の価格が1ヵ月ごとに1万円、5000円、1万円、5000円......とジグザグに変動したとします。
これを毎月1万円ずつ買うと、1万円のときには1口、5000円のときには2口買い、8年4ヵ月後に100万円の投資が終わります。100万円で150口の商品が買えることになるので、平均購入価格は約6666円になる計算です。
この商品の価格が1万円のときにすべて売ると、利益は約50万円になります。逆に、5000円のときに売ってしまうと、25万円の損失が生まれます。
注意しておきたいのは、商品を買うとき、価格がその後どうなるか本来わからないことです。
商品を買う時点では、誰でも「これは値上がりするに違いない(値上がりしてほしい)」と思って買っているでしょう。
しかし、いくら投資のプロでも、それが100%当たるわけではないのです。
ドルコスト平均法は、感情に左右されずに投資するという効果も望めます。
「これは値上がりするに違いない」と強く思っていると、本来売るべきタイミングでも「まだまだ上昇する」「値下がりを挽回できる」などとしてしまう可能性があります。
その結果、利益を減らしたり、損失の傷口を広げてしまったりすることが考えられるのです。
もちろん、結果としてうまくいくこともあるかもしれませんが、それはもう運の世界です。投資はギャンブルではないのです。
積立投資は、どんな局面にあっても感情に左右されずに淡々と買い付けできますので、投資タイミングの判断がいりません。毎日買い付ける手間もかからないので、投資初心者にとっては積立投資のほうがよいでしょう。
ここで紹介した例は、わかりやすくするために少々極端にしましたが、一括投資だと当たり外れが大きく、積立投資は一括投資より安定的だということができます。
どっちが得と考えるかは、投資家のスタンスによるでしょう。
頼藤太希(よりふじ・たいき)
慶應義塾大学経済学部卒業後、アメリカンファミリー生命保険会社(アフラック)で資産運用リスク管理業務に従事。2015年、(株)Money&Youを創業し、代表取締役社長に就任。女性向けWEBメディア『FP CafeR』や『Mocha(モカ)』を運営。『税金を減らしてお金持ちになるすごい!方法』(河出書房新社)、『人生100年時代!月5000円から始める50代からのお金の増やし方』(宝島社)、『税制優遇のおいしいいただき方』(きんざい)、『つみたてNISAでお金は勝手に増えていく!』(スタンダーズ)ほか著作・共著・監修書多数。日本証券アナリスト協会検定会員、ファイナンシャルプランナー(AFP)、日本アクチュアリー会研究会員、金融工学コースシグマ検定1級。
