(本記事は、菅下清廣氏の著書『絶対大金持ちになる 死ぬまで働かされる人生からの脱出法』講談社、2018年8月8日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

財布を落とし、交番にも行ったが見つからない!あなたなら?

絶対大金持ちになる 死ぬまで働かされる人生からの脱出法
(画像=fizkes/Shutterstock.com)

通った道を戻りながら、見つかるまで根気よく捜す
or
そのうち出てくるかもしれないと考え、一旦帰宅する

【ワンポイントレッスン】

損したことでクヨクヨするより次のチャンスにつかむ

株式投資に限らず、投資に「絶対」はあり得ません。

そのため、思わぬ事態に遭遇したときは、どう対処するかが大事です。

たとえば昨日から今日にかけて、大きく株価が下がったとします。

ここで冷静なあなたは「これはチャンスだ」と考え、前々からチェックしていた株を買いました。ところが、その翌日も下げ止まりません。

こうした局面で、どこまで損を許容していくかは非常に悩むところです。

長く持ち続ければいつかは上がるかもしれませんから、損を確定させる気にはならない。

しかし、それは6ヵ月後かもしれないし、もしかしたら2年後かもしれない。さて、あなたならどうしますか?

こうしたケースでうまくいくパターンは、おそらく10%もありません。このように、他人のアイデアで買った株が下がった場合は、「即売却」が正解です。

しかし、自分の判断で買ったとしたらどうでしょうか?

他人の請け売りではなく自分で熟慮して買った場合は判断に悩むかもしれません。

ただ、私ならこの場合も損切り、つまり売却します。なぜなら、自分の判断が間違っていたのは明らかだからです。

自分が買った水準からそれほど下がらずに上昇に転じたのなら、自分の見通しが当たっていたわけですから、一定の値上がりまで待つべきです。

逆に、買った後もさらに大きく下がったとなれば、それは自分の判断に間違いがあった証拠です。持ち続ける意味はありません。

ところが、この判断をできない人が多いのです。

自分の判断は間違っていない、下がるのは相場のほうが間違っているに違いない、などと考えて売却に踏み切れず、結局は株を塩漬けにするのがダメ投資家のお決まりのパターンです。

間違った判断をしたら、すぐに損を最小限にして撤退してこそ、プロの投資家です。投資の世界で大事なのは、すぐに損切りできるかどうかなのです。

アマチュアは損した分を取り返そうと思って、下がった株をさらに買ってしまう。これを投資用語で「ナンピン買い」と言います。

このナンピン買いは成功確率が低いというのが相場世界の常識です。

相場の世界には「下手なナンピン、損の上塗り」との格言がありますが、まさにそのとおり。

これに対し、「損切りは値千金」と言われます。自分の間違いを認め、最前線からすぐに撤退するのが勝利への道、というわけです。

小さな失敗なら次のチャンスも望めますが、傷口を広げ過ぎると二度と立ち上がることができなくなります。失敗は失敗でも、小さな失敗で済ませることが大事なのです。

私は実践でも自分の保有株の含み損をつねに聞きます。そして値下がりしている株はできるだけ早く損切りするようにしています。

逆に値上がりしている株はできるだけ長く保有するように努めています。

●同じもので取り返そうとするから失敗する

戦国時代を例にとりましょう。織田信長が味方の裏切りにあって挟み討ちの危険にさらされたことがあります。

いわゆる「金ヶ崎の戦い」です。

信長の優秀なところは、味方の裏切りにあった瞬間に「長居をすると自分が危ない」と判断して、しんがりを羽柴秀吉(のちの豊臣秀吉)に任せて、数少ない部下を連れて戦場から逃げたことです。

ここで傷を最小限に食い止めたから、「姉川の戦い」で報復するチャンスが訪れたわけです。この信長の行動は、株で言えば「損切り」と同じです。

ふつう、ここで妙なこだわりを見せる人が大半でしょう。同じ戦場で盛り返そうとして、ドツボにはまってしまうのです。

負けを認めてなるものかと意固地になり、結果、大敗してしまう。これは明らかに戦況判断能力が欠如している状態です。

戦況を見て、これはどう見ても勝ち目がないと判断したら、できる限り損害を少なくするためにその場は多少格好悪くても撤退し、次の戦に備えるべきです。これが勝利の法則なのです。

戦国時代の戦でもピンとこない人は、会社帰りに財布を落としてしまったと考えてみてください。

警察にも届けましたが、すぐには見つかりません。

そういうとき、通勤経路を行きつ戻りつしながら見つかるまで捜す人もいるかと思いますが、これは間違い。

時間と体力の無駄遣いです。

「いつか出てくるさ」と考え、ここはあきらめて自宅へ帰る。それが正解です。

つい最近、私も新幹線の棚に、親しい知人の方々からいただいたプレゼントを置き忘れてしまいました。

残念でしたが、その品物はJR東海に寄附したと、そのとき思い直しました。

損をしたとき、「同じもので取り返そう」とするから失敗してしまうのです。そうではなく、失敗はいったん認め、その分、別の手段で儲ければいいのです。

家に帰って一息つけば頭は少し冷静になります。

その冷静な頭で成功しそうな投資案件でも見つけたほうが、よっぽどお金儲けできる可能性が高いと思います。

では、どうしたら失敗したときでも平静を保てるのでしょうか?

私のおすすめは、絵画などの美術作品を見に行ったり、好きな音楽を聴いたりするなど、日常的にリラックスした心を保つ時間を意識してつくることです。

私は織田信長についてそれほど詳しいわけではありませんが、彼は能が得意で、人前でもよく舞っていたといいます。信長は能を舞うことで心のバランスを保っていたのではないでしょうか。

これを現代に置き換えると、成功するには「仕事人間ではダメ」ということです。映画でも落語でもいい。

オンとオフの切り替えが上手にできない人はお金持ちにもなれないのです。

絶対大金持ちになる 死ぬまで働かされる人生からの脱出法
菅下清廣(すがした・きよひろ)
スガシタパートナーズ株式会社代表取締役、国際金融コンサルタント、投資家、学校法人立命館顧問、近畿大学世界経済研究所客員教授。メリルリンチをはじめとする名門金融機関で活躍後、現職。著書に『ウォールストリート式年収1億円の条件』(フォレスト出版)、『今こそ「お金の教養」を身につけなさい稼ぎ、貯め、殖やす人の“37のルール”』(PHPビジネス新書)、『資産はこの「黄金株」で殖やしなさい!』シリーズ(実務教育出版)、『知らないと損をする!株高時代の「お金の教養」』(KADOKAWA)など多数。
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