企業ロゴにも使われる「黄金比」と「フィボナッチ数列」

黄金比,永野裕之
(画像=The 21 online)

「黄金比」という言葉を聞いたことがあっても、それがどういうものか、正確に理解している人は少ないかもしれない。だが、我々の身の回りには意外なほど多くの「黄金比」が取り入れられている。黄金比とは何か、そしてそれはなぜ美しいのか。人気数学塾塾長を務める永野裕之氏がその秘密を説く。

人間は「正五角形」に美しさを感じる

もし、最も美しい図形は何ですか、と問われたたら何と答えますか?

ちなみに古代ギリシャでは円こそが最も美しい図形だと考えられていました。その理由は、円は中心を通る直線で分ければどの方向から直線を入れても直線を挟んで対称になるからです。富士山や東京タワーの例を出すまでもなく、対称(シンメトリック)であることは美しさの基本なのです。

しかし私達が自然と美しいと感じる長さの比率は正五角形の中に潜んでいます。それは正五角形の一辺と対角線の長さの比であり、いわゆる黄金比です。黄金比とは次の比率のものをいいます。

黄金比…1:1.618…(正確には、1: (1+√5)/2=1.6180339? )

黄金比,永野裕之
(画像=The 21 online)

「黄金比」という名前は、この比の美しさに魅せられた古代ギリシャの彫刻家ペイディアスが名付けたといわれています。

ただし、文献上で「黄金比」という用語が初めて登場したのはずっと後のことで1835年にドイツで刊行された『初等純粋数学』という本が最初です。