どんな気分とかけ合わせるかで、同じ言葉でも伝わる印象が大きく変わる
会話を終えたときに、気分にどんな変化を起こしたいのかが大事と、『「言いにくいこと」をハッキリ伝えても、なぜか好かれる話し方』の著者・藤由達藏氏は説く。
連載第3回で紹介するのは、「気分」を「会話」に活かす方法だ。藤由氏によると、これは3つのSTEPで、誰でもすぐにできるという。
【STEP1】なりたい気分を見つける
気分を会話に活かすには手順があります。順番に見ていきましょう。
気分を会話に活かすための手順は、
■【STEP1】なりたい気分を見つける
■【STEP2】「気分」を「表情」「動作」で表現する
■【STEP3】「気分」に「言葉」をのせる
という3つです。
心豊かな会話をしたいならば、まず、会話の目的と「気分」を確認することから始めましょう。
会話を終えたときに、どんな変化を起こしたいのか。なんのために会話をするのか。そして、それはどんな気分をもたらすためなのか、ということです。
その目的は、<連載第2回>で挙げた、変化させたい5つの要素(感情・思考・行動・関係・気分)を確認すると、具体的な姿が見えてきます。
・どんな感情を味わいたいのか
・どんな思考をしていたいのか
・どんな行動を促したいのか
・どんな関係を築きたいのか
つまりは、
・どんな気分を味わいたいのか
ということです。
たとえば、子どもに宿題をするように言いたいと考えているとき。今までだったら、すぐに口を開いて「宿題すんだの?」とか「早く宿題やりなさい!」と言っていたかもしれません。そこを、ちょっと一呼吸置いてから、これから言いたいことや話したいことの目的は何かを考えてみます。
「きちんと宿題をやって、学校で教わったことを身につけてほしい。それは、将来、自律的で、自ら考えることのできる大人になってほしいから。そのために、まずは、毎日の宿題をやってほしい」
もし、そういうことを思っているのであれば、その目的はなんでしょうか。
「子どもの自ら学ぶ姿勢と成長の実現」
そんなふうに言えるかもしれません。
会話の目的をそこに設定して、その会話が終わった後の、感情・思考・行動・関係・気分を考えてみましょう。
・感情……親「安心」子ども「ワクワク」
・思考……親「わかってくれた」子ども「宿題をやりたい!」
・行動……親「自分のことをやる」子ども「さっそく宿題に取りかかる」
・関係……お互い「親子の信頼が少し強化される」
・気分……お互い「楽しい」
このように5つの要素を思い描くと、会話のゴールが具体的に見えてきます。
「気分」を決めるにあたって、他の4つの要素も見ることで、「気分」の妥当性を確認することができるのです。5つの要素は互いに関係しているので、もしも他の4つの要素とそぐわない気分を選びそうになっても、すぐに気づけます。
この例の場合、「楽しい」という気分だということがわかったことになります。「気分」が見つかったら、次のステップに進みましょう。