【連載】米国株「テンバガー」予備軍
継続課金型の「サブスクリプション」と呼ばれるビジネスモデルが花盛りだ。ネット小売大手アマゾンによる洗濯洗剤など生活消費財の定期配達、食材宅配大手ブルーエプロンによる毎週のミールキット配達、動画ストリーミング大手ネットフリックスが提供する独自コンテンツ配信、音楽ストリーミング大手スポティファイの楽曲配信、ソフトウェア大手シマンテックによるクラウド上のセキュリティーサービスなど、企業に予測可能な安定収入をもたらす期待の業態となっている。(執筆=在米ジャーナリスト 岩田太郎)
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サブスクリプションサービスをサポートするズオラのサービス
クレディスイスの推計では、2015年の米国におけるサブスクリプション市場規模は4200億ドル(約47兆7720億円)に達した。だが、サブスクリプション企業にとり、従来の単体製品買い切り型の商品・サービス販売とは異なる難点もある。継続課金の可変的な価格設定・契約管理・日割り計算・回収・複数の決済方法への対応・売上計上・分析・税制や規制への対応などが複雑化し、包括的な管理が難しいのだ。
こうしたサブスクリプション企業の困りごとを解決することで急激に成長をしているのが、米ズオラだ。月末締めまで重要業績評価指標(KPI)が把握できない従来モデルを脱し、リアルタイムの経営メトリクスを「直観的でわかりやすい包括的なインターフェース」で提供する業界のリーダーである。
顧客関係管理(CRM)ソリューション大手の米セールスフォースの幹部であった台湾からの移民二世ティエン・ツォ(左軒霆)最高経営責任者(CEO)がその先見の明を活かし、サブスクリプションビジネスが盛んになるはるか以前の2007年に創業したという、「ストーリー性」を持つ企業でもある。