「港町」イメージのオフィスには様々な工夫が!
エンゲージメントスコアを高くキープする秘密は、社内のレイアウトにもある。GINZA SIXのオフィス内には、コミュニケーション活性化のための様々な工夫が凝らされている。「港町」をコンセプトとした同オフィスは、来客として訪れた者の目から見てもとても魅力的だが、執務エリアにもさらなる工夫が。
「以前はビルやフロアが分かれていて、ビルが違うと社員同士は用件をメールで済ませ、階が異なるとコミュニケーションに断絶が生まれがちでした。現在は都内6カ所に点在していた拠点を壁のない1フロアに集結。フロアは部門ごとのエリアが決まった『デザインアドレス制』を導入しました。部門同士の連携に手間がかからなくなり、事業間の協働がスムーズになりました。従業員からは『相談しやすくなった』という声も上がっています。 組織図はコミュニケーションのチャンネル図。部門を超えた完全フリーアドレス制にしてしまうとチャンネル図が壊れてしまうので、部門ごとにゆるやかに分けました。デスクも斜めに設置し、従業員がジグザグに通行する動線を作り、コミュニケーションを誘発しています」
ちょっとした打ち合わせなどができるフリースペースも多く設けられている他、喫煙室も3カ所設置されている。オフィスの全面禁煙が進み、「喫煙者を採用しない」とする企業も出てくるなど、喫煙者の肩身が狭くなりがちな昨今だが、どのような理由があるのか。
「今の時代、肩身が狭い喫煙者を救ってあげたいという思い、喫煙者と非喫煙者が共存できる組織にしたい思いがありました。 それに、喫煙中ならではの独特のリラックスムードで会話が盛んになる『喫煙室コミュニケーション』にも意味があると思います。当社の喫煙室はガラス張りのため、多忙そうな相手でも、喫煙室に向かう瞬間を狙えば確実に話せるといったタイミングをつかむときにも最適だという、思わぬ副次的効果もありました」
「メールでするな、議論や批判」――マナーかるたに込めた思い
こうしたオフィスの工夫は冒頭に話があった『One for All,All foe All』の実現にもつながっていると言えるだろう。小笹氏自身も、積極的に社員とコミュニケーションを図っているという。
「外部と内部半々ではありますが、基本的に夜の予定は会食で埋まっています。内部で会食をするときは、テーマに合わせて呼ぶメンバー層を選定し、『飲みニケーション』をします。ただ自分がお酒を飲みたいという理由もありますが(笑)、対面のコミュニケーションは大切。デジタルツールの発達で数多くの情報にリーチでき、『報・連・相』も簡易に行なえる便利な時代になりましたが、デジタル化が進むほどリアルなコミュニケーションの重要性が増した気がしています。
私が作成して従業員に配布している『マナーかるた』の1つに『メールでするな議論や批判』というかるたがあります。文字のみのラリーだとロジックになりすぎ炎上しやすくなるからです。他にも、『相談あれば憂いなし』『ネット上つぶやく先は全世界』『朝来れないなら酒飲むな』というかるたもあります(笑)」
トップでありながら遊び心も忘れない小笹氏。部下から飲みに誘われる日も頻繁にあるという。リーダーとしてどのようなコミュニケーションを心がけているのだろうか。
「基本的には日頃から部下との信頼関係構築を意識しています。そのうえで管理職は部下への影響力も必要です。影響力の源泉は5つあります。
・すごい――専門性
・すてき――人間性
・ありがたい――返報性
・ぶれない――一貫性
・こわい――厳格性
です。
5つすべてを備えている人はなかなかいませんが、どれか1つに頼っている管理職は多いものです。データによると、専門性のみを持つ上司が率いる職場のモチベーションは低いといわれています。人に仕事を任せることができず、部下が貢献感を覚えられないことが原因かもしれません。個人的には、人間性と一貫性を備えた人が『最強の上司』だと考えています。管理職の人はできれば2つ、ないしは3つ備えると部下との信頼関係構築にも役立ちます」