つみたてNISAハック
(画像=ZUU online編集部)
つみたてNISAハック大全〜人生100年時代に選ぶべき銘柄〜
  1. 【第1回】「つみたてNISA」を活用せよ〜人生100年時代の戦略〜
  2. 【第2回】元本800万円は20年でどこまで増える?
  3. 【第3回】国際分散投資のススメ
  4. 【第4回】1/22公開予定
  5. 【第5回】2/26公開予定
つみたてNISAハック大全
中野 晴啓(なかの はるひろ)
セゾン投信株式会社 代表取締役社長。1987年、現在の株式会社クレディセゾン入社。関連会社で債券ポートフォリオの運用を手がけた後、投資顧問事業を立ち上げ運用責任者としてグループ資金の運用や海外契約資産等の運用をアドバイスした。2006年セゾン投信株式会社設立。「セゾン資産形成の達人ファンド」は数々のファンドアワードで最優秀ファンドを受賞。顧客数13万8千人、預かり資産額は2,300億円超。一般社団法人 投資信託協会理事 公益財団法人 セゾン文化財団理事。著書に『お金のウソ』(ダイヤモンド社)、『はじめての人が投資信託で成功するたった1つの方法』(アスコム)などがある。

これまで当コラムでは「【第1回】「つみたてNISA」を活用せよ~人生100年時代の戦略~」と「【第2回】制度概要と期待される成果」について皆さんにお伝えしてきました。今回は制度の設計意図に沿ってしっかりと成果を挙げるために、最も大事な「つみたてNISA」にふさわしい投資信託の選び方の基本を考えましょう。

「つみたてNISA」は前回説明した通り、投資信託にしか投資できず、しかも金融庁が定めた厳格な基準をすべて満たした投資信託しか届出が許されていません。結果として、現存している約6,500本もの既存公募投資信託に対して、159本(2018年10月31日時点)の商品のみが投資対象に限定されています。

ならば、届出された投信は言うなれば金融庁のお墨付きが与えられたものなので、どれを選んでも安心だ、という短絡思考は禁物です。各々の商品自体は厳しい届出要件を満たした、長期資産形成に資する設計が為されたものとは言えましょうが、それらすべてが必ずそれ1本を選べば充分とは言い難いため、私たち生活者の最大公約数となるべき最適な商品選択をすべきでありましょう。

私たちのお金が働きに出る先として、どこが相応しいのかという点が最も重要な商品選択の第一歩であり、すなわちまず投資対象を絞り込むことから始めましょう。金融庁は「つみたてNISA早わかりガイドブック」という制度説明資料の中で、様々なデータを使って制度活用を勧奨していますが、それらのデータからお金を特定の資産や地域に集中させずに分散投資することの重要性を説いています。

国際分散投資こそ合理的な選択

まずは株式と債券を併せ持ったバランス型のポートフォリオを推奨し、かつ日本にのみにこだわらず世界全体に投資を分散させる「国際分散投資」が日本人にとって合理的な選択であると読み取ることができます。

理由は明確で、バランス型のポートフォリオを持つことによって、株式と債券の値動き特性が違うため、途上での値動きの幅を抑制できることから、将来の損失可能性(リスク)を低減させる効果が期待できるということです。そして長期資産形成で大事なのは、決して日々の相場の値動きを追いかけて勝負するのではなく、お金が安定的に育って行く環境でお金を働かせるということです。

その上で世界全体に分散させる「国際分散投資」を最も合理的として勧めるのは、お金が長期的に育つ養分は経済成長であり、特定の国や地域に偏って成長場所を当てに行くよりは、世界経済全体にお金を働きに出す方が、遥かに安定した成長軌道にお金を載せることができるであろうと捉えているからです。

世界の各地域は決して均一に経済成長しているわけではありません。経済活動は景気の波動によって好況と不況を繰り返しながら、長期的に発展成長を実現していくのが大前提です。しかし景気の波の動きは地域ごとにバラバラで法則性も導き得ず、どこがその時々で力強い成長を示すか、将来のことは不確実です。それでも世界全体で見れば、これまで極めて安定した成長軌道を辿っていて、これからもその軌道は持続性を持つと想定されるとの観点から、世界経済全体の成長軌道に乗せるかたちでお金を働きに出すことが、長期でお金を育てる場所として最適で合理的な解であると考えています。筆者が運営するセゾン投信も、この考え方に立脚して地球経済全体にお金を分けて働きに出す「国際分散投資」を採用しています。

つみたてNISAの商品選び

皆さんも肌で感じている通り、残念ながら日本経済は20世紀の高度成長期を終えて、21世紀に入ってからはずっと経済成長が見出せなくなって久しいわけで、私たち日本の生活者がお金を合理的に育つ場所を選択するなら世界経済全体が最適で、それを資産運用として叶えてくれる投資信託を選択すべきでありましょう。