討論会でのパウエル議長の発言にも好感

同じく1月4日にアトランタで開催された討論会でジェローム・パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長、ベン・バーナンキ、ジャネット・イエレン前FRB議長らが聴衆を前に意見交換しました。

そこでの重要なポイントは2点あります。

まずジェローム・パウエル議長は「トランプ米大統領から辞任を迫られたら、辞任しますか?」という質問に対し、ハッキリ「NO」と言いました。大統領からの圧力に屈しないという意思表示は、市場参加者から好感されました。

加えて3人は、折からインフレ期待が低いので慌てて利上げしなくても「辛抱強く(patient)」経済指標を追いかけ、ムダなアクションは起こす必要はない、という意見を共有しました。

実は「辛抱強く」という言い回しは先のFOMC(米連邦公開市場委員会)の記者会見でも使われており、新しい表現ではありません。

しかし今回の討論会では「FRBは当座、何もしなくていい。そして何かしなければいけなくなったときは臨機応変にアクションを起こす」ということが以前よりハッキリと聞く者に伝わりました。

これを市場は勝手に「利上げ打ち止め」と解釈し、金曜日のNY市場は+3%以上の大幅高となりました。

ただ、長い好景気の最後の方でNFPの数字が急に伸びることは過去にも何度も見られたことであり、これ自体は経済が末永く拡大することの保証にはなりません。

またパウエル議長のコメントも、丹念に見れば先のFOMCの時と同じことしか言ってないのです。だからこれを「利上げ打ち止め」と解釈したのは市場の「お手つき」だと思います。