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(画像=iStock.com/Yagi-Studio 写真はイメージ。)

顧客満足度、いわゆる「CS」という言葉はよく耳にするが、最近は「ES」という言葉も耳にするようになってきた。ESとは「従業員満足度(Employee Satisfaction)」のこと。ESを高めることで経営面においても様々なメリットがあると言われている。そこで今回は、ESを高めるための取り組みをいくつか紹介していきたい。

ESの高い職場とは? ESを高めるメリット

従業員満足度の高そうな職場というと、「給料が高い」「休暇の制度が整っている」などが思いつく。しかし、実際にESの高い職場ではこうした待遇面に加え、職場の環境や人間関係、モチベーション管理などの問題に着目していることが多い。職場の快適さややりがいを重視することで、優秀な人材が集まり、さらには業務の効率化や生産性の向上なども期待できるというわけだ。

また、近年は人手不足や人件費の高騰も飲食店にとって大きな悩みとなっているが、ESが高まれば、離職率が低下して採用コストの削減にもなる。多くの人が「働きたい」と思えるようなESの高い職場は、自然とサービスの質が上がり、顧客満足度(CS)の向上にも繋がるはず。職場環境の問題点を整理した上で、独自性のあるES向上の取り組みをしていくことが、これからの飲食店経営において重要な課題と言えるだろう。

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飲食店で導入しやすい「ES」を高める取り組み

では早速、ESを高めるための取り組みを紹介していきたい。

1、社内のオリジナル検定や表彰制度を用意

売上や従業員のモチベーションを高めるには、インセンティブ制度が効果的だと言われている。しかし、売上に対する評価だけでは、一部の従業員しかモチベーションが上がらず、職場全体の士気が落ちてしまう可能性も。調理や接客技術などに関するものであれば、主力スタッフだけでなく、より多くの従業員が対象となるので、ES向上に効果があると言えるだろう。

例えば『串カツ田中』では、独自の社内検定である「串カツ検定」を2012年から実施。調理のスピードや質に応じて、2級、1級、師範などのランク付けをしている。他店からの参加者と顔を合わせたり、技術レベルの違いなどを知るきっかけにもなるため、チェーン店全体のモチベーションアップ、品質向上に繋がっているようだ。

『串カツ田中』の「社内検定」以外にも、例えば「表彰制度」を設けることで社員のモチベーションを高めるのも効果的だ。笑顔の印象がいいスタッフに「スマイル賞」、生ビールを注ぐのが上手なスタッフには「ビアマイスター」の称号を与えるなどして、年に1~2度、表彰式を開催するのもいい。あまり堅苦しく考えず、社内イベントとして楽しい雰囲気を演出することが大切だ。

2、休業日に視察を兼ねた社員旅行を実施

飲食店は定休日も少なく、スタッフによって休日が異なることも多いため、従業員一同揃ってのイベント開催はなかなか難しい。一部のスタッフしか参加できないと、ESは高まるどころか下がってしまう可能性も。そこで、年に1~2回は「全店休業日」を設けて、社員旅行や研修旅行などを企画するのも効果的な方法だ。

最近は一般の企業でも、金曜日の営業終了後に出発し、月曜に全員で出社する「エクストリーム社員旅行」が注目されている。飲食店の場合でも、定休日前の営業終了後に出発するなどの工夫をすれば1泊旅行も可能だ。また、事前に行ってみたい飲食店のアンケートをとっておき、全国の繁盛店の視察旅行という形にすれば、交流だけでなくサービスへの意識を高めることもできるだろう。