相手が好む営業パーソンを「演じる」

次に、先天的であれ、後天的であれ、現在の「素の自分」のキャラクターで営業を行うのではなく、取引先の担当者が好むであろう営業パーソンを演じるのだ。

もっと言えば、「売れる営業パーソン」を演じて欲しいのだが、まずは手始めに「相手が好むであろう」営業パーソンを演じることから始めよう。

「そんなこと言ったって、どんな営業パーソンを好むかなんて分からない」という読者は、相手の話し方、テンポ、抑揚、姿勢などを真似てみる“ミラーリング”からスタートしたい。

人間というものは、自身と類似性がある人に親近感をもったり、そう感じる人と友達になったりするものなので、その特性を最初から利用してしまうのが“ミラーリング”の手法になる。

もし、それで効果がないなら、“ミラーリング”の真逆も試して欲しい。

「恋愛と営業が同じ」という説には異論を唱えたいが、人は「自分にないものを持っている人に惹かれる」という恋愛の特性は営業でも活かせるところがある。

「精神科医」になったつもりで相手を分析

それでもダメなら今度は「精神科医」を演じてみよう

「取引先のK課長は何で社外の私に対して、いつもこんな不機嫌な態度で対応するのだろう?」という疑問に対して、できるだけ多く推測としてその要因をリストアップしていくのだ。

例えば、家庭生活がうまくいっておらず、そのイライラが月曜朝一に訪問する自分にぶつけられるのかもしれないし、対人関係がずっと苦手だったので技術者になったのに、管理職になってしまい社外との折衝役を担わされ、厭々やっているのかもしれない。

自分にとってどんなイヤな相手であっても、そうなっている理由が分かれば、少なくともそこから来るストレスは大幅に削減されるので試さない手はない。

重要なのは、このように様々な可能性を勘案しつつ、顧客に合うキャラクターを模索していくことだ。そのココロは、相手の性格は絶対に変わらないということ。その性格をコントロールできる自分に変わるために、「精神科医」を演じるというわけだ。