朝晩はまだまだコートのえりを立てなければやり過ごせない日々が続いていますが、日差しは一時に比べ暖かくなってきたように思います。日経平均株価は3/8(金)のように大幅に下がる日もあり、いまだ冬相場と言えるかもしれないですが、それでも株価そのものは一時に比べて水準を切り上げ、株式市場にも「春が接近している」と感じさせる今日この頃になっています。
「春相場」の入り口とも捉えられる3月は、株価だけではなく、配当や株主優待にも話題が集まりやすい季節です。前回の「日本株投資戦略」では、改めて3月決算銘柄の「株主優待」と「配当」についてレポートしました。今回のレポートでも「配当」について考察し、配当利回りの高い銘柄を取り上げています。
ただ、今回は株主優待と切り離して考察していることもあり、登場してくる銘柄もかなり異なっています。また、株主優待について考察しない分、機関投資家も手掛けやすい銘柄が増えています。それと併せ、改めて配当と株主投資について考え直してみたいと思います。
「日本株投資戦略特選」の好配当利回り10銘柄はコチラ!?
前回の「日本株投資戦略」では、東証上場の主力銘柄について、3月決算銘柄の「株主優待」や「配当」にスポットを当てました。今回も主力銘柄について考察しますが「株主優待」については切り離して考えます。スクリーニング条件は以下の通りです。表1は下の全条件を満たした銘柄を予想配当利回りの高い順に10銘柄並べたものです。
(1)東証1部上場銘柄であること
(2)時価総額1,000億円以上の銘柄であること
(3)3月決算銘柄であること
(4)証券・REIT等を除く業種であること
(5)予想配当利回りが3%超の銘柄であること
(6)今期予想経常利益が増益予想の銘柄であること
(7)業種が重複した場合はもっとも予想配当利回りの高い1銘柄を掲載すること
(8)法令順守等の観点からメディア等で問題が指摘されている銘柄でないこと
今回の銘柄抽出に当たっては、当社のスクリーニングツールを用いておりますので、投資家の皆様ご自身で、スクリーニングすることも可能です。特にポイントとなる予想配当利回りについては、株価が変わるたびに変化し、表1の順位も日々変動することになります。最新データを確認したい投資家の方はご自身でスクリーニングし直すことができます。
なお、配当利回りについては前回も注意点としてご説明しましたが、上期配当と期末配当等、年間の配当(予想)をすべて受け取ったと仮定した場合の利回りを計算していることになります。期末配当だけを受け取った場合は、表記の予想利回りを確保できない場合もありますのでご注意ください。
表1のトップはあおぞら銀行(8304)でした。この銘柄は年4回配当を行っており、第1~第3四半期末(実績)各40円、第4四半期末(会社予想)64円で1株当たり年間計184円配当になる予定であり、それを株価(3/7)で割ると5.74%という計算(弊社スクリーニングツールで表示される数字)になります。また、ソフトバンク(9434)は2018/12/19(水)に上場後、この3月末の期末配当が1株37.5円という会社予想になっています。上場から当該期末配当の基準日までの期間が6ヶ月未満であることを考慮し、1株配当は半期の2倍になると仮定すると、年間では1株75円ペースの計算で、それを株価(3/7)で割ると、5.68%(弊社スクリーニングツールで表示される数字)になる計算です。
表1:「日本株投資戦略特選」の好配当利回り10銘柄はコチラ!?
コード / 銘柄 / 株価(3/7) / 予想配当利回り(%) / 時価総額(10億円)
<8304> / あおぞら銀行 / 3,205 / 5.74 / 379
<9434> / ソフトバンク / 1,319.5 / 5.68 / 6,317
<5411> / ジェイ エフ イー ホールディングス / 1,886.0 / 5.04 / 1,159
<4188> / 三菱ケミカルホールディングス / 811.4 / 4.93 / 1,222
<8035> / 東京エレクトロン / 14,955 / 4.84 / 2,471
<8053> / 住友商事 / 1,573 / 4.77 / 1,967
<8591> / オリックス / 1,601 / 4.75 / 2,121
<8766> / 東京海上ホールディングス / 5,362 / 4.66 / 3,859
<7729> / 東京精密 / 2,830 / 4.17 / 118
<1820> / 西松建設 / 2,505 / 3.99 / 139
※弊社スクリーニングツールを用いてSBI証券が作成。予想配当利回りについても、年間で受け取ると予想されるすべての1株当たり配当金をベースに計算されています。実際の配当利回りは株価や配当政策等により影響を受け、表に掲載された数字から大きくかい離するケースもありますのでご注意ください。
配当利回りランキングと株式投資
予想配当利回りは予想1株配当金(年間で受け取ると予想されるすべての1株当たり配当金)を、計算時点での株価で割って求められます。このため、予想1株配当金や株価が変化すると、予想配当利回りも変化してくることになります。
このうち、予想1株配当金は「予想」を行う主体が誰かにより各種存在することになります。一般的には「会社予想」の数字をベースに計算しますが、会社側が業績や配当の予想を公表していないケースも少なくありません。そこで、日本経済新聞社や東洋経済、Bloomberg等の各種メディアやアナリストなどの予想を参考にすることも多くあります。そもそも、会社予想の1株配当金(配当政策)についても、業績等の変動を反映して変更されることがあります。 さらに、株価は常に変動しています。予想配当利回りは変動することが常ということが言えそうです。預貯金等の利回りとは性質が大きく異なることを理解しておくことが必要です。
予想配当利回りが高いということは、予想1株当たり配当金が多いことが理由の場合もあれば、株価が安いことが理由のケースもあります。すなわち、投資家による「評価」が低く株価が安いことが配当利回りを押し上げているケースもありますので注意が必要です。一般的に、予想配当利回りのランキングをみると、銀行や証券、商社などが上位になるケースが多いようですが、市場から成長性を疑問視されている企業が多いという側面もありそうです。
今回、表1でご紹介する銘柄を抽出する条件として(7)を加えた理由は、同一業種の銘柄が多くなってしまうことを回避することを狙ったためです。(7)の条件を入れない場合は、全体の予想配当利回りが高く映る反面、業種が偏る可能性があります。
とはいえ、最近は上場企業の配当が増えているにもかかわらず、株価の上昇がそれに追い着かないため、上場企業の配当利回りは中長期的には上昇基調となっています。配当利回りの面で、日本株の魅力は向上していると言えるのかもしれません。
図1:日経平均株価(月足)とその予想配当利回り
※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。
鈴木英之
SBI証券 投資調査部
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