東証はなぜ10銭単位の取り引きを開始したのか
2014年7月から東証は一部の銘柄の株式売買の単位を10銭単位に引き下げた。売買における価格差を細分化することで、投資家の取引コストが軽減できる。投資家の取引コストが軽減されれば、今までよりも積極的な投資ができるようになり、その分国内外から市場にお金が集まり企業活動を促進させるという狙いだ。
10銭単位の取り引きの対象範囲とされたのは、時価総額の大きな『TOPIX100』の銘柄。セブン&アイ・ホールディングス <3382>、パナソニック <6752>、ソニー <6758> 、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306>、みずほフィナンシャルグループ <8411>、NTTドコモ <9437>などだ。
取引単位縮小によって起こるメリットは?
たとえば、300円の株を購入するためには、これまで301円以上で購入する必要があった。この1円にはチャンスも含まれるが、値下がりした場合のリスクも含まれる。10銭単位の取り引きであれば、300円10銭から購入することができるようになるため、取引単位の縮小はリスクを軽減する、という効果が期待できる。
また、取引単位が縮小することで注文できる選択肢が広がるため、積極的な投資が可能となりチャンスも拡大する可能性がある。細かい注文を行うことができるようになることで、より分析の精度を向上させることができる。取引量の多い投資家からすればチャンスであり、1日に数万回もの取り引きを行う海外の機関投資家としては、少しの変動幅でも利益を出すことができるため有利に働くことになる。世界中の機関投資家にとって利便性の高い体制となれば、より海外マネーが日本に流れ込み、市場の活性化を図ることができる。