"利幅"は縮小。個人投資家にとっては、逆風?

一方、デメリットとしてあげられるのは、"利幅の縮小"だ。システムやプログラムを利用して大量の売買を行う機関投資家おいては、より精緻化した投資でリスク管理を行い、ひとつの取り引き当たりの細かい利益を大量の取り引きで帳尻を合わずことができるため有利に働くかもしれない。しかし、手作業で売買を行う個人投資家の場合は、取引単位の縮小によって変動幅も少なくなるため利幅が狭くなる。デイトレードなどをメインに行っている個人投資家にとっては、不利に働いてしまうことも考えられる。

また、そもそもの取引量が少ない場合は、売りと買いの価格が分かれてしまい取引自体が成立しにくくなることもある。加えて、全体的に価格変動が細かくなることで情報量が増えるため、状況の管理において負担増ともなる。

取引単位縮小は、大きなお金を動かす機関投資家向けの施策と考えることができる。しかし、取引量の少ない個人投資家にとっては、利益を出しにくい状況となる。10銭単位の取引単位になることで、得る利益減ることはあっても増えることはない。つまり、10銭単位で売買を行うことができる銘柄が増えれば増えるほど、活動する個人投資家が減ってしまう可能性もある。


対象銘柄の範囲は拡大せず

当初、東証は2015年9月の新システム導入の際に対象銘柄の拡大を検討していた。しかし、その対象は『TOPIX100』銘柄のまま据え置かれることになった。同時に、いくつかの銘柄では取引単位を元に戻す。具体的には、株価が3,000円超5,000円以下、30,000円超50,000円以下の銘柄は、それぞれ1円、10円という単位に戻される。一部では取引コストの低減は見られたとされるが、売買のしにくさなど、メリットの少ない個人投資家への影響も考慮されたと考えられる。

(ZUU online)

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