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ヘルスケアリートとは

皆さん、ヘルスケアリートをご存知ですか。東京証券取引所(東証)では、ヘルスケアリートを「主たる投資対象をヘルスケア施設とするリート」と定義しています。それはつまり、総資産に占めるヘルスケア施設の割合が50%超のリートを指しています。そして、ヘルスケア施設とは、有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅(サ高住)などのシニア向け住宅のほか病院・医療モール施設のことを意味します。ですので、J-REITの1つではありますが、伝統的な商業用不動産や住宅用不動産を取り扱うのではなく、ヘルスケア施設に特化したリートと言えると思います。以下では、ヘルスケアリート登場の背景を探った上で、上場予定の銘柄や上場後の利回り予測をしてみたいと思います。


ヘルスケアリート登場の背景は「サ高住」人気の高まり

ヘルスケアリート登場の背景にあるのが、高齢化の進展によるヘルスケア施設の需要の高まりがあります。総務省統計局は、今現在で4人に1人の割合である高齢者が(65歳以上)、約20年後には3人に1人が高齢者になると予測しています。こうした高齢者人口が急激に増加する一方で、高齢者人口に対する住宅の割が2005年時点で0.9%しかなかったことを受け、政府は住生活基本計画でこの割合を2020年までに3~5%に高める方針を打ち出しました。そして、そのための財源に民間資金が不可欠と判断し、ヘルスケアリートの導入に至りました。このようにヘルスケアリートへの取り組みは国策であり、官民一体となって行われている点では他のリートと異なるとも言えると思います。


上場予定の銘柄

現在上場を予定しているヘルスケアリートには3銘柄あります。(1)大和証券グループ本社傘下の大和リアル・エステート・アセット・マネジメントは、ヘルスケアリートとして日本ヘルスケア投資法人の運用を始めています。実績を積み上げ、今秋以降に東証への上場を予定しています。全国にある8カ所の有料老人ホームに投資しており、その運用規模は約90億円。今後、サービス付き高齢者住宅(サ高住)や病院にも投資先を広げる方針。上場時で200~300億円の資産規模を目指すとしています。(2)ケネディクス、長谷工コーポレーション、三菱UFJ信託銀行、LIXILグループ、損害保険ジャパン、新生銀行の6社はヘルスケアリートの創設目的に、資産運用会社としてジャパン・シニアリビング・パートナーズを設立しています。同運用会社がヘルスケアリートを設立する予定で、2014年の後半にも上場を予定しています。上場時に500億円程度を目指し、早期に1,000億円程度の資産規模とする方針。(3)三井住友銀行は、ヘルスケアリートを2015年の3月をめどに上場させる予定です。当初の資産規模は200億円としています。