眺望の良い高層マンションを好む人は多いでしょう。しかし住環境を考えるなら、実は低層マンションのほうがメリットが多いことはあまり知られていません。高層マンションにはない低層マンションの魅力とは?

低層マンションはなぜ住環境が良いのか

住環境,低層マンション
(画像=shigemi okano/Shutterstock.com)

低層マンションとは、一般的に3~5階建程度のマンションを指します。低層マンションは住環境が良いと言われますが、その理由は立地の特性にあります。

低層マンションが建てられる場所は、第一種低層住居専用地域または第二種低層住居専用地域がほとんどで、都市計画上、住宅街であるため周辺に高層マンションが建つ心配がありません。眺望や日照権への影響も少なく、物件価値が大きく下がるような環境変化が起きにくいというメリットがあります。

また総戸数が1,000戸近くもある大規模マンションの場合、すべての住人を把握することは困難ですが、低層マンションは十数戸~数十戸程度なので、ある程度の期間住めば、ほとんどの住民と顔なじみになるケースが多いようです。住環境だけでなく、人的コミュニティが良好なことも安心できる要素です。

災害時の避難が容易

東日本大震災以来、災害時の避難経路の確保が大きな課題になっています。低層マンションは、災害時の避難が容易なことも大きなメリットと言えるでしょう。不動産に関する意識調査でも、低層マンションを選ぶ理由のトップは「災害時安全に避難できること」です。

大きな地震の際は高層階ほど揺れが大きくなり、それだけでパニックになることがあります。さらにエレベーターは、センサーが地震を感知すると自動的に最寄り階に停止するシステムになっているので、高層階で止まった場合はその分避難に時間がかかることになります。低層マンションであれば最上階でも5階程度なので、階段を使っても比較的短時間で避難できます。

気象庁の見解で、今後30年以内に70~80%の確率で起こるとされている「南海トラフ地震」に備える意味でも、低層マンションは理想的な構造と言えるでしょう。

ヴィンテージマンションと呼ばれるのはなぜか

マンションの中には、ヴィンテージマンションと呼ばれるものがあります。ヴィンテージマンションとは単に古いだけでなく、年数が経っても高い価値を保つマンションのことです。

ヴィンテージマンションの専門サイトで物件を検索してみると、20階以上ある高層マンションはほとんどなく、低~中層マンションがずらりと並びます。物件によっては、一見すると一戸建てと見間違えそうな佇まいのマンションもあります。

優れたデザインと機能性、良質なコミュニティや行き届いた管理体制は、階層や戸数を抑えたからこそできるヴィンテージマンションの魅力と言えます。ヴィンテージマンションを眺めれば、その瀟洒で重厚な雰囲気に魅了される人も多いのではないでしょうか。

高齢化社会で見直される低層マンション

低層マンションは、不動産投資の対象としても有望です。これからの日本の社会構造を考えると、低層マンションの需要はますます増えることが予想されるからです。それでも、より多くの住戸を販売したいマンションデベロッパーの立場から、低層マンションの供給が少ないのが現状です。よって、希少性の高さが不動産の価値を下支えしてくれることが期待できます。

高層マンションのメリットである眺望の良さを求めるなら、ホテルで体験することもできます。しかし、マンションは毎日の暮らしの拠点なので、眺望よりも住みやすいことが重要です。低層マンションの特徴である機能性や安全性、良好な住環境やコミュニティといったメリットが、高齢化社会で見直される可能性は高いでしょう。

高層マンションにはないメリットが多い低層マンションは、これからの高齢化社会において人気物件になる可能性は十分にありそうです。(提供:YANUSY

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