シンガポールの19年4月の輸出額(石油と再輸出除く、ドル建て、通関ベース)は前年同月比9.6%減(前月:同12.5%減)とマイナス幅が縮小した。輸出の伸び率は、昨年から主力の電子製品の低迷が続き、昨年末頃からは石油化学製品や医薬品の減少が顕著になるなど全体的な輸出不振が続いている。なお、総輸出額は前年同月比3.5%減(前月:同5.8%減)とマイナス幅が縮小、総輸入額は同4.4%増(前月:同1.5%減)とプラスに転じた。結果として、貿易収支は21.9億ドルの黒字となり、前月から6.8億ドル黒字が縮小した(図表11)。
輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約3割を占める電子製品は同18.8%減(前月:同28.9%減)と、5ヵ月連続のマイナスとなった(図表12)。電子製品の内訳を見ると、PC(同16.3%増)が増加したものの、主力のIC(同23.6%減)とPC部品(同13.0%減)が2ヵ月連続で減少したほか、ダイオード・トランジスタ(同16.1%減)が低迷した。また電子製品と並び全体の約3割を占める化学は同23.7%減(前月:同21.4%減)とマイナス幅が拡大した。化学製品の内訳を見ると、石油化学製品が同16.1%減(前月:同17.6%減)、医薬品が同48.1%減(前月:同38.4%増)となり、それぞれ低迷した。
フィリピンの19年4月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比0.4%増となり、前月の同1.8%減からプラスに転じた。輸出の伸び率は昨年主力の電子製品を中心に緩やかな増加傾向が続いた後、12月から4カ月連続で減少していたが、4月は電子機器と果物の出荷が増加してプラスとなった。一方、輸入額は前年同月比1.9%減(前月:同7.8%増)と低下した。結果として、貿易収支は35.0億ドルの赤字となり、前月から4.0億ドル赤字が拡大した(図表13)。
輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の5割強を占める電子製品は同3.0%増(前月:同4.1%減)と上昇し、2ヵ月ぶりのプラスとなった(図表14)。電子製品の内訳を見ると、家電製品(同0.9%減)が減少したものの、主力の半導体デバイス(同1.2%増)が7ヵ月ぶりのプラスとなったほか、電子データ処理機(同8.5%増)が大きく増加した。その他9品目は総じて増加した品目が多かった。生鮮バナナ(同76.7%増)と金(同36.1%増)、機械・輸送用機器(同28.5%増)、ココナッツオイル(同18.1%増)、イグニッション・ワイヤーセット(同14.5%増)、その他製造品(同4.0%増)が増加する一方、金属部品(同27.2%減)、化学(同12.9%減)、その他鉱産品(同11.9%減)が減少した。
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斉藤誠(さいとう まこと)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 准主任研究員
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