スマホを中心としたキャッシュレス決済の普及で、ポイントを付与される機会が多くなりました。年間で数万ポイントが貯まることもありますが、気になるのは確定申告が必要かどうかです。ポイントと税金の関係は、どうなっているのでしょうか。

キャッシュレス決済の普及で増えるポイント付与

ポイント,確定申告
(写真=Dasha_Romanova/Shutterstock.com)

キャッシュレス決済とは、現金を使わない決済のことです。以前からあるクレジットカードや電子マネーに加え、近年ではスマホによるキャッシュレス決済が急速に普及しています。「○○ペイ」などの名称で、決済サービス企業が顧客獲得のために「20%をポイント還元」など、派手なキャンペーンを繰り広げています。

諸外国に比べて低いキャッシュレス決済比率を高めるため、日本政府は消費税率10%改正時に増税分をポイントで還元する政策を発表しています。

私たちがポイントを付与される機会は、今後飛躍的に増えていくでしょう。そうなると確定申告が必要になるか、気になる人もいるかもしれません。

ポイントは「一時所得」

ポイントは、所得の区分では「一時所得」として扱われます。雑誌やテレビの懸賞で、現金や商品券などが当選した場合と同じです。営利を目的とした行為(事業や仕事)による収入や、役務によって得た利益以外のものが一時所得に分類されます。ポイントは金額が小さく、頻繁に付与されるので「雑所得」というイメージがありますが、一時所得なので注意が必要です。

一時所得の特別控除額は年間50万円であり、それ以下の収入であれば申告の必要はありません。ポイントの付与率は一般的には1%が多いので、50万ポイント(50万円相当)を得るには、5,000万円分の決済をしなければならない計算になります。よほどの富裕層でない限り、この基準を超えることは稀でしょう。

ただし、特別控除はポイントだけでなく、すべての一時所得の合計額が対象なので、他の一時所得が多くある場合は非課税枠を超えてしまう可能性があります。

申告対象は使用したポイントのみ

申告の対象は、実際に使用したポイントのみです。その理由は、ポイントには使用期限があるからです。ポイントは付与されても使用期限を過ぎれば失効しますし、自分が得ようとしなくても自動的に付与されるポイントもあります。付与されただけで収入とみなされれば、利用者に不利益を与えてしまうことになります。

ポイントは、その保有者が店舗のレジなどで使用する旨を申告してはじめて、現金と同じ効力を発揮します。法律上は「停止条件付贈与契約」にあたり、保有しているだけでは収入とはみなされないのです。

複雑なのが、ショッピングで付与されたポイントの中に、アンケート回答などによる謝礼として付与されるポイントが混在している場合です。謝礼ポイントは本来役務の対価にあたるため「雑所得」になりますが、使用したポイントがどちらなのか保有者が判別することは困難です。謝礼ポイントの比率はごくわずかと考えられますので、現状では気にする必要はなさそうです。

法整備の途上で現状はほぼ申告不要

法整備途上のポイントプログラムですが、一時所得の特別控除額50万円の基準を超えるポイントが付与されるのが稀な上に、申告義務があるのは使用した分のみとなれば、ポイント単独で確定申告の義務が発生することはほとんどないと考えられます。

国税庁も「企業が提供するポイントプログラムの加入者(個人)に係る所得税の課税関係について」というホームページの記事の中で「一時所得の特別控除によって、ほとんどの納税者は申告する必要は生じないであろう」と述べています。

将来は源泉徴収などによって使用したポイントに課税される可能性はありますが、現状ではほぼ申告不要ですので、安心してポイントを使うことができます。
ポイントが消費者の利益になり、キャッシュレス社会の発展にもつながることを願っています。(提供:YANUSY

【あなたにオススメ YANUSY】
副業ブームの日本!サラリーマン大家になるなら覚えておきたいこと
2019年以降の不動産投資は「コミュニティ」が欠かせない
賃貸業界の黒船になるか。インド発のOYOの実態
不動産所得での節税に欠かせない必要経費の知識
賃貸管理上でのトラブル対応術とは?