薄商いの中、日経平均は2万1,500円で推移

ETFの資金動向
(画像=PIXTA)

日本株式は6月に米利下げ期待から米国株式の上昇を受けて、日経平均株価は2万1,000円台を回復した。さらに、7月に入ると6月末に米中首脳会談で米中通商協議の再開決定したことを好感して、日経平均株価は7月1日に2万1,700円台まで上昇した。その後はやや調整し、足元、2万1,500円台で推移している。一方、東証一部の売買代金は目安となる2兆円を下回る日が多く、特に7月に入ってから1日以外、10日まで7営業日連続で下回っており、薄商いが続いている。

このような中、投資家がどのような投資行動を取っているのか(上場していない)インデックス・ファンドとETFの資金動向をみる。

インデックス・ファンドは資金流出するも直ぐに様子見に

まず、足元のインデックス・ファンド(1)の日次の資金動向をみる【図表1】。6月は6日以降、資金流入、資金流出ともに50億円以内に納まる日が続いていた。7月に入ると日経平均株価が2万1,700円台にのせた翌営業日の2日に60億円、翌3日に100億円と比較的、大規模な資金流出があった。やはり、株価上昇に伴い利益確定の売却が膨らんだ様子である。ただ、資金流出が顕著だったのはこの2日間だけで、7月4日以降も流出基調が続いているが、50億円以下の小規模な資金流出となっている。

ETFの資金動向
(画像=ニッセイ基礎研究所)

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(1)日本籍追加型株式投信でTOPIXや日経平均株価などの日本株式の指数に連動した運用をしているもの。ETF、SMA・ DC専用は除外。

強気型ETF、弱気型ETFも様子見

では、インデックス・ファンドより短期投資に用いられる株価が上がると大きく値上がりする強気型ETF、株価が下がると大きく値上がりする弱気型ETFの資金動向はどうだったのか。代表的な強気型ETF(2)と代表的な弱気型ETF(3)の足元の日次推計資金流出入をみる【図表2】。

強気型ETF、弱気型ETFの資金動向は、インデックス・ファンドと比べると資金の出入り若干激しいが、インデックス・ファンドと似た傾向になっていた。6月は5日から26日にかけては、12日と13日、20日と21日に多少の資金の動きがあったものの、総じて資金の動きはあまりみられなかった。6月27日から7月4日にかけては資金の動きが活発であった。特に、日経平均株価が2万1,700円台にのせた1日は、強気型ETFから300億円を超える資金が流出した一方で、弱気型ETFに170億円の資金が流入していた。7月5日以降は再び、強気型ETF、弱気型ETFともに資金の動きが止まっている。

ETFの資金動向
(画像=ニッセイ基礎研究所)

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(2)NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信:概ね日経平均株価の2倍動くETF
(3)NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信:概ね日経平均株価の逆方向に2倍動くETF

最後に

インデックス・ファンドや強気型ETF、弱気型ETFの資金動向からは、株価が大きく動いた日以外では資金の動きがみられず、様子見姿勢の投資家が多かったことが分かる。6月は月末にG20や米中首脳会談を控えていた。7月も米金融政策の動向が注目される中、月末にFOMCが控えている。また、昨年秋以降、日本企業の業績に対して不安がある中、足元の円高の進行によって先行きの不透明感がさらに高まっている。つまり、積極的に日本株式を買えるような特段の材料が不足していることも、投資家が重要なイベント待ちになりやすい背景となっている。

(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。

前山裕亮(まえやまゆうすけ)
ニッセイ基礎研究所 金融研究部 准主任研究員

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