日経平均は一時2万200円台まで下落するも、ただちに反発
日本株式は8月上旬に米中問題の激化懸念から大きく下落し、日経平均株価は2万500円目前まで下落した。中旬に入っても世界的な景気減速懸念などから一時、2万400円台まで下落する場面もあったが、その後は円高の進行が一服したこともあり2万700円台まで回復した。下旬は再び米中問題に揺れる展開となり、激化懸念が再燃した26日に2万200円台まで下落した。ただ、直ちにトランプ米大統領が火消しに走ったこともあり27日には反発し、30日には2万700円台まで戻した。足元、日経平均株価は2万600円前後で推移している。
このような中、投資家が8月26日の下落を受けてどのような投資行動を取っているのか(上場していない)インデックス・ファンドとETFの資金動向をみる。なお、今回からETFの資金動向は筆者が独自に推計した取引所(セカンダリー)ベースの推計値を用いている。
インデックス・ファンドは逆張り健在だが小規模
まず、インデックス・ファンド(1)の日次の資金動向をみる【図表1】。日経平均株価が2万200円台まで下落した8月26日の翌営業日には90億円(赤点線)の資金流入があり、インデックス・ファンドを用いた逆張り投資は健在であったようだ。ただし、一日で100億円以上も資金流入がある日もあった8月上旬と比べると、やや少額であったといえよう。また、2万700円まで回復した30日の翌営業日には30億円(青点線)と少額であるが資金流出していた。
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(1)日本籍追加型株式投信でTOPIXや日経平均株価などの日本株式の指数に連動した運用をしているもの。
ETF、SMA専用、 DC専用は除外。
強気型ETFからの逃げ足は速く
では、インデックス・ファンドより短期投資に用いられる株価が上がると大きく値上がりする強気型ETF、株価が下がると大きく値上がりする弱気型ETFの資金動向はどうだったのか。代表的な強気型ETF(2)と代表的な弱気型ETF(3)の足元の日次推計資金流出入をみる【図表2】。
強気型ETFには8月26日(赤点線)に250億円の資金が流入しており、インデックス・ファンドと同様に強気型ETFを用いた逆張り投資は健在であったが、流入規模は8月上旬と比べると小さかった。ただ、強気型ETFでは27日に株価が反発するとともに、直ちに資金流出に転じていた。特に2万700円まで回復した30日(青点線)には、26日の流入金額を上回る260億円もの資金流出があった。27日から30日の累計だと流出金額は350億円に達している。さらに、30日は弱気型ETFに130億円の資金流入があった。
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(2)NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信:概ね日経平均株価の2倍動くETF
(3)NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信:概ね日経平均株価の逆方向に2倍動くETF
最後に
インデックス・ファンド、強気型ETFともに26日の下落に伴う逆張り投資は健在であった。ただ、それ以降に強気型ETFからは逆張り投資された資金以上の資金流出がある一方で弱気型ETFに資金流入があった。そのことを踏まえると、株価は直ちに反発し元の水準に戻ったが、不透明感が強い中で上値が重いと考えている投資家が増えているのかもしれない。
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前山裕亮(まえやまゆうすけ)
ニッセイ基礎研究所 金融研究部 准主任研究員
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