【目次】
①パワーソリューションズIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)【10/7更新】 ※一部有料会員限定
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント 【9/30更新】 ※有料会員限定
- 会社名
- 株式会社パワーソリューションズ
- コード
- 4450
- 市場
- マザーズ
- 業種
- 情報・通信業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 佐藤 成信 /1970年生
- 本店所在地
- 東京都千代田区大手町一丁目5番1号
- 設立年
- 2002年
- 従業員数
- 152人 (2019/07/31現在)(平均35.6歳、年収659.7万円)
- 事業内容
- 金融機関に向けた業務コンサルティング・システムの受託開発・運用保守サービスおよび業務のアウトソーシング受託、ならびに法人に向けたRPA(ロボットによる業務自動化)ライセンスの販売および導入サポートなど
- URL
- https://www.powersolutions.co.jp/
- 株主数
- 22人 (目論見書より)
- 資本金
- 74,912,000円 (2019/08/27現在)
- 上場時発行済み株数
- 1,323,700株(別に潜在株式126,744株)
- 公開株数
- 328,500株(公募285,700株、売り出し0株、オーバーアロットメント42,800株)
- 調達資金使途
- 人件費や外注費、設備投資、借入金の返済
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2019/09/10→1,870~2,000円に決定
- ブックビルディング期間:2019/09/12 - 09/19
- 公開価格決定:2019/09/20→2,000円に決定
- 申込期間:2019/09/24 - 09/27
- 払込期日:2019/09/30
- 上場日:2019/10/01→初値5,110円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:大和証券
- 引受証券:みずほ証券
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:岩井コスモ証券
- 引受証券:いちよし証券
- 引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:極東証券
- 引受証券:エース証券
- 大株主
- (同)未来企画 298,000株 25.59%
- (同)一誠堂 284,000株 24.38%
- 佐藤成信 98,000株 8.41%
- みずほ成長支援投資事業有限責任組合 90,000株 7.73%
- 兼子浩之 88,000株 7.56%
- 高橋忠郎 63,284株 5.43%
- 老川信二郎 35,178株 3.02%
- 加藤秀和 26,928株 2.31%
- 鈴木義晃 17,904株 1.54%
- 片倉正人 13,154株 1.13%
- 業績動向(単位:百万円)売上高 営業利益 経常利益 純利益
- 2017/12 単独実績 2,131 291 291 206
- 2018/12 単独実績 2,364 289 291 202
- 2019/06 単独中間実績 1,378 213 213 139
- ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後90日目の2019年12月29日または上場後180日目の2020年3月28日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×公開価格)
- 6億5700万円(328,500株×2,000円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 126,744株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
-
パワーソリューションズ<4450>は主に金融機関を対象に、業務コンサルティング・システム受託開発・運用保守を行う企業である。
既存の汎用パッケージ等では対応できない、複数のパッケージやサービス間のデータ連携の自動化など、「ラストワンマイルの業務のプロセス最適化」を行う事業を展開している。
■事業内容について
同社は主に金融機関を対象に、各種の汎用システム・サービスを充分に活用できるよう、下記の3つのサービスを提供している。
① システムインテグレーション
② アウトソーシング
③ RPA関連サービス
下記で詳細を解説するが、同社はビジネステクノロジーソリューション事業の単一セグメントであり、各サービス別の損益状況の開示はなされていない。
●①システムインテグレーション
金融機関を対象に業務コンサルティング、システムの受託開発、保守運用を行っている。具体的にはレポーティング関連システムの開発、コンプライアンス関連システムの開発、発注関連システムの開発など、現場レベルで利用されるシステムを開発する。
金融機関のシステムは、SI会社等が提供する汎用のパッケージやサービスを利用するケースが多い。しかし実際に利用するビジネス部門において、業務上利用しやすい状態とならないケースがしばしば発生する。同社では実際にシステムを利用するビジネス部門のニーズを満たすため、汎用サービスや顧客内のシステム同士を連携させるなど、付加機能の開発を行っている。
同社では顧客企業が汎用サービス導入後に、ビジネス部門が利用できるまでの最後の部分を「ラストワンマイル」と呼んでおり、「ラストワンマイル」の最適化を中心事業として位置付けている。
●②アウトソーシング
システムインテグレーションの補完的なサービスとして、金融機関の付随業務の受託やチーム単位での人材派遣を手掛けている。具体的には、投資信託適時開示・法定開示レポーティング・投信レポートデリバリー等を行う。
●③RPA関連サービス
RPA(※)は「複数のシステムを接続し、業務を最適化すること」を目的としており、AIを活用した高度なソフトウェアの誕生などもあり、世界規模でサービスが拡大中である。
※RPA→ロボティックプロセスオートメーション(Robotic Process Automation)、通称RPAは、これまで人間のみが対応可能と想定されていた作業、もしくはより高度な作業を、人間に代わって実施できるルールエンジンやAI、機械学習等を含む認知技術を活用して代行・代替する取り組み。(日本RPA協会:https://rpa-japan.com/)
同社は2018年2月に、RPAソフトウェア会社のUiPath株式会社のゴールドパートナーとしてリセラー契約を締結した。そしてRPAソフトウェアのUiPath RPA Platformのライセンス販売及び導入サポートを行っている。
■同社の特徴
同社は通常のSI会社と異なり顧客との直接契約(プライム案件)が中心のため、各案件の収益性が高い。尚、2018年12月期のプライム案件の売上高比率は91%%である。
また金融機関では、採用されているシステムやソフトが共通するケースが多い。よって金融業界に特化することでノウハウの横展開が可能となり、コスト優位性を発揮できる。
尚、同社は野村グループに対する売上比率が高く、2018年12月期は54%である。内訳としてはNRIプロセスイノベーション23%、野村アセットマネジメント13%、野村HD6.8%、野村総研6.8%、野村信託銀行4.0%となっている。
またRPAは人手不足や働き方改革によって国内でもニーズが高まっており、今後は金融機関に留まらない、広範囲な業界及び業務プロセスへの展開を目指している。
■業績推移
2016年12月期 売上高19億円、経常利益1.5億円、当期純利益0.8億円
2017年12月期 売上高21億円、経常利益2.9億円、当期純利益2.1億円
2018年12月期 売上高24億円、経常利益2.9億円、当期純利益2.0億円
2019年12月期(予想) 売上高27億円、経常利益3.1億円、当期純利益2.0億円
着実な業績拡大を遂げている。2017年12月期→2018年12月期は利益が伸び悩んだものの、2019年12月期には経常利益3億円の到達を予想している。
2019年12月期はQ2時点で売上高14億円、経常利益2.1億円であり、通期予想達成に向けて進捗は順調である。
■財務状況
2018年12月期末時点で、資産合計12億円に対し純資産合計7.9億円、自己資本比率63%となっている。
借入金0.5億円に対し、現預金3.2億円を保有しており、財務状況に特段の懸念事項はない。尚、貸借対照表上の最大の資産科目は売掛金(5.2億円)である。
■資金使途
IPOにより6.3億円の資金調達を行い、下記の使途を予定している。
・システムインテグレーション及びRPA関連サービスの拡大を目的としたコンサルタントの人件費 2億円
・社内システムサーバ機器及び開発端末等の社内システムインフラ設備増強 1億円
・事業拡大及び人員増加に伴うオフィス増設 0.5億円
・金融機関からの借入金の返済 0.1億円
事業拡大のための人材投資及び、開発力アップのための設備投資中心に、調達資金は充当される。
■株主状況
佐藤社長は第3位株主(株主シェア8.4%)だが、佐藤社長の資産管理会社である合同会社未来企画が筆頭株主(同26%)。また兼子副社長も同様に個人(同7.6%)と資産管理会社である合同会社一誠堂(同24%)で株式を保有している。佐藤社長及び兼子副社長の関係先で、株主シェアの66%を有しており、安定的な株主構成である。
個人中心の株主構成であるが、第4位株主としてVCのみずほ成長支援投資事業有限責任組合(同7.7%)が資本参加している。尚、同ファンドは上場後90日もしくは株価1.5倍のロックアップ契約を締結済み。
■まとめ金融機関の現場向けのシステム開発に強みを有するシステム開発会社のIPO案件である。尚、売上先としては野村グループが約半数を占める。
金融業界における現場のサービス領域に注力して、他のSI会社との差別化を果たしている。その結果、顧客と直接取引も可能となり、利益率の高いビジネス展開を行っている。
またこれまでの同社ノウハウの蓄積はRPAとの相性もよく、海外RPAソフトの代理店となり、RPAの導入サービス事業も展開している。国内では事務手続きの多い金融機関中心にRPAの導入が開始されているが、人手不足や働き方改革もあり、今後は様々な業界へRPA導入拡大が期待できる。
既存事業で手堅く事業を維持拡大しながら、IPOを契機にRPA関連サービスにて更なる成長を果たすことができるか、という点が今後のポイントになると考えられる。