要旨

就労延長,老後生活水準
(画像=PIXTA)

退職までの期間が相対的に短い50代に限っても、退職後も生活水準を維持できる十分な資産を用意できている世帯は半数に満たない。十分な資産を用意できていない世帯が生活水準を維持するための手段として就労延長や公的年金の繰下げ受給を勧める動きがある。そこで、就労延長や公的年金の繰下げ支給の選択により、退職後の生活水準が改善する世帯の特徴を確認した。

結果、公的年金繰下げ支給は、生活水準の大幅な低下が見込まれる夫婦世帯には改善効果がなく、高所得世帯や生活水準の大幅な低下が見込まれない世帯にとって、生活水準の低下を回避する効果が大きいことがわかった。一方、就労延長には、低所得生態ほど生活水準の低下を抑制する効果が大きく、パートやアルバイトの従業員として就労する場合でも、十分な効果が確認できた。