要旨
2001年9月にJ-REIT(不動産投資信託)市場が誕生してから、今年で18年が経過した。本稿では、東証REIT指数のトータルリターンを「株式市場」、「債券市場」、「不動産市場」の三つの要因に分解し、上昇・下落への寄与度を調べた。この結果、通期ではこれらの要因が東証REIT指数のリターンに影響を与えていたことが確認された。
しかしながら、マイナス金利導入前と比較して、マイナス金利導入後はこれらの要因の説明力は低下した。この期間の東証REIT指数の上昇には、外国人投資家によるJ-REIT買い越しが大きく影響していた。その背景としては、J-REITと10年国債利回りのスプレッドが海外よりも大きかったことが考えられる。
しかし、足元では海外の10年国債利回りの低下により、日本と海外のイールドスプレッドの差は縮小している。また、外国人投資家はJ-REITを売り越しに転じている。株式市場、債券市場、不動産市場に加え、外国人投資家の動向や各国の金融政策に注目したい。