(本記事は、ジャスパー・ウの著書『実践 スタンフォード式 デザイン思考 世界一クリエイティブな問題解決』インプレス2019年9月11日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
デザイン思考のプロセス
さて、デザイン思考のプロセスについてふれていきたいと思います。デザイン思考のプロセスは「共感」から始まります。(1)共感(Empathize)、(2)定義(Define)、(3)アイデア(Ideate)、(4)プロトタイプ(Prototype)、そして(5)テスト(Test)。もしかしたら、次の図(図1-1)を目にしたことがあるかもしれません。
図1-1 デザイン思考のプロセス
d.schoolでもデザイン思考の流れを説明するとき、この図を用いることが多くあります。しかしこれは基本的なデザイン思考の例であり、各プロジェクトに合わせてアレンジして使います。そしてこれらのプロセスは、左から右へと一直線に進むわけではありません。アイデアプロセスまで進んでもよい解決方法が見つからない場合は問題定義や共感のプロセスに戻ることもありますし、テストの結果がうまくいかなければ、プロトタイプのつくり直しやそもそもの問題定義を見直すこともあります。デザイン思考は、この5つのプロセスを行きつ戻りつしながら進んでいくのです。デザイン思考は一直線の方法論ではないというのが、非常に重要なポイントです。
つまり、デザイン思考には決まった形のフレームワークがあるわけではなく、シチュエーションに応じて自分が使えるように理解し、応用しなくてはならないということです。
スタンフォード大学の学生たちも、一つのクラスでデザイン思考をマスターできるとは思っていません。異なった教授やチームメートといくつものプロジェクトを経験することでデザイン思考を身に付け、自分自身の問題に応用できるように学んでいきます。
東京都立大学大学院 工学系研究科 機械工学専攻 博士課程修了。 2015年~2016年に、Stanford University, Center for Design Research, Visiting Associate Professorとしてデザイン思考の研究を行う。
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