(本記事は、ジャスパー・ウの著書『実践 スタンフォード式 デザイン思考 世界一クリエイティブな問題解決』インプレス2019年9月11日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

デザイン思考の得意分野・苦手分野

得意・不得意
(画像=Lightspring/Shutterstock.com)

デザイン思考を使うことで解決できるトピックとは何でしょう? 私は、人々の問題に関連していることであれば、どんなトピックでもデザイン思考を通じて解決に近づくことができると考えています。デザイン思考の基本プロセスは、インタビューを通じて問題を探し、チームでアイデアを見つけ、形にして、ユーザーにテストしてもらいます。私たちは、「誰か」の問題を解決するためにデザイン思考というアプローチを選択しました。人々の問題に関連することはすべてOKなのです。

逆に、スマートフォンのCPUを高性能化するアルゴリズムの改良や、数学の定理を証明するといった明確な答えが存在しているものについては、デザイン思考のトピックには向かないといえるでしょう。

医療業界を例に考えてみると、新薬の開発や抗ガン剤の効果を高めるといった開発そのものは苦手です。一方で、患者さんが飲みやすい薬をつくる、注射を受ける際の恐怖をやわらげる、というように誰かの体験を改善するトピックは、デザイン思考を用いて解決策を考えるのに向いています。

誰かのニーズや体験からアプローチするということは、何か新しいアイデアを考えるときや、新たなサービスをつくるとき、そして海外に展開してローカライズするといったような、今までの延長線ではなく、新しいものをつくるためのアプローチとして向いているのでしょう。そのため、シリコンバレーのスタートアップをはじめ、世界各国のIT企業やグローバル企業が、こぞってデザイン思考を取り入れるようになったのだと思われます。

実践 スタンフォード式 デザイン思考
ジャスパー・ウ(Jasper Wu)
スタンフォード大学による「d.school」でデザイン思考を学び、デザイン思考のワークショップファシリテーターとしてキャリアをスタート。またプライベートでは「増し増し.inc」を立ち上げ、"Unlock your creativity" をテーマにデザインワークショップやトレーニングなどを行う。
見崎 大悟(みさき・だいご)
工学院大学工学部機械システム工学科准教授。
東京都立大学大学院 工学系研究科 機械工学専攻 博士課程修了。 2015年~2016年に、Stanford University, Center for Design Research, Visiting Associate Professorとしてデザイン思考の研究を行う。

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